注意しておきたいのが、病気が原因のこわばり。その種類や、病気だと気付くためのポイントを聞きました。
こわばりを伴う代表的な病気が、1面でも話題に上がった関節リウマチ。30~50代の女性に発症する傾向があります。
「関節の周りを包む滑膜に炎症が起こり、こわばりをはじめ、腫れや痛みといった症状が現れます。グローブを着けているような感覚ともいわれていますね。進行すると骨が徐々に破壊され、関節を曲げられなくなったり、変形したりします」(井口さん)
こわばりを感じる病気は、関節リウマチだけではないそう。
「例えば、女性が発症しやすい全身性エリテマトーデスや、皮膚が硬くなる強皮症という病気があります。見逃されやすいのがリウマチ性多発筋痛症。突然、肩や腰に強いこわばりや痛みを感じるもので、60代以上に多い疾患です」
こわばりが病気かどうか自分で判断することはできるのでしょうか。
「こわばりのほか、腫れや痛みを感じたり、その症状が30分~1時間続く場合は病気の可能性が高いです。痛みや炎症による発熱もサインの一つ。指先が白や紫に変色する〝レイノー症状〟が現れる人もいます。こういった異変があれば要注意です」
関節リウマチは骨粗しょう症や肺障害、貧血を引き起こすケースも。こわばりのほかに異変を感じたら、病気の疑いがあるかもしれません。
「気になる症状は早めに病院へ。血液検査で病気を特定し、適切な治療を受けるようにしましょう」
薬物療法、リハビリ、手術といった治療法により、問題なく日常生活を送ることを目指していくそうです。
体をこわばらせないために。自分でも心掛けられることがありますよ。日常生活の中で、こわばり対策を実践してみては。
「立ちっぱなし、座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢でいるのはなるべく避けるようにしましょう」と得丸さん。ですが、どうしても立ち仕事やデスクワークが続く場合もあります。
「足踏みをする、背伸びをする、1時間ごとに席を立つといった動作を行うだけでも予防になります。固まった筋肉をほぐすには入浴が有効。冷え予防にもなります。40度程度のお湯に長めに入る習慣をつけるといいですね」
常に正しい姿勢を意識することも重要。いすに座るときは腰と背もたれの間にクッションを挟むと、バランスの良い姿勢を保てるといいます。
「いすは足が床につく高さに調整を。足にも体重をかけられるようにするのが理想です。また、腰の深部筋を鍛えることも大切ですよ」
得丸さんによると、腰の深部筋はおなかの運動で鍛えられるとのこと。
「膝を立ててあおむけに寝て、10秒間息を吐きながら下腹部を引き込むように。一般的な腹筋トレーニングでは表層筋しか鍛えられないので、ぜひ挑戦してみてください」
関節リウマチの発症リスクが高まったり、症状が悪化するというのが喫煙。
「健康に良くないたばこですが、それは関節リウマチでも同じです。発症後も肺の合併症に結びつく危険があるので、たばこは控えるようにしましょう」(井口さん)
病気や更年期のこわばりの予防につながるのは、規則正しい生活を送ること。
「病気や更年期の場合はなかなか予防が難しい面も。基本的なことですが、健康的な生活を心掛けることが一番です。バランスのいい食事をとるのもその一つ。睡眠時間を十分に確保し、疲れをためないようにするといいですね」
体が元気に動くうちに、体力づくりをするのもおすすめ。
「筋力が弱いと不調が出やすくなります。意識して歩くようにしたり、体操をしたりと、簡単なことでもOK」
健康なうちからの心掛けが肝心ですね。
教えてくれたのは
体がこわばったら、ストレッチやマッサージでほぐしてみては。教えてくれたのは、健康運動指導士の山本孝さんです。「このストレッチは背中とふくらはぎ、腰のこわばりに効きます。固まった筋肉がほぐれますよ。ふくらはぎのマッサージは血行の促進につながります。座っていても膝でふくらはぎをマッサージできるので、デスクワークの合間にも試してみてもらえたら」