11月22日は「いい夫婦の日」。その日を前に、人生経験を積んだ50歳オーバーの〝先輩夫婦〟にコミュニケーション術について聞きました。いい夫婦関係の基礎となる大切なこと、参考にしてみて。
今尾修一さん(67歳)・典子さん(61歳)
「近所の出来事から美容の情報、街角でテレビのインタビューを受けたことまで、その日にあったことや聞いたことを夫にずっと話しています」と今尾典子さん。「僕はプロ野球の話題が多いかな」とは夫の修一さん。
現在は夫婦2人暮らしでお互いによく話をするそうですが、修一さんが定年退職をするまでは共働きですれ違い気味の生活。そのころは、会話の大切さには気付かなかったそう。変わったのは、たまたま修一さんが仕事の話をしたときでした。
「納品書という意味の『invoice』と言ったときに、『どういう意味?』と聞かれたんです。妻は英語の教師をしているので通じると思ったのですが、学校の授業では出てこない単語だったようです」
そのときに、思い込みで話してはいけないと感じたと言います。
「説明をすれば分かってもらえるので、丁寧な会話をしなければと思いました」
現在、仕事を続ける典子さんとともに週3回のスポーツに精を出す修一さん。お互いの用事も多く忙しい日々を過ごしていますが、会話を大切にする気持ちはますます強くなっているようです。
「もっと分かり合い、2人の生活を楽しく過ごすためにも、いろいろな会話をしていきたいです」
今井秀樹さん(61歳)・裕美さん(59歳)
夫婦で共通の趣味を楽しんでいる人は多いのでは。今井秀樹さんと裕美さん夫婦の場合は、フォークダンスが「僕たち夫婦の〝核〟です」とのこと。
世界各地の伝統的な民族舞踊を総称するフォークダンス。中でも、2人はポーランドのダンスが大好きなのだそうです。
「手をつないだり、見つめ合ったりと触れ合うことが多く、ちょっとしたしぐさにパートナーへの気遣いが表れます。コミュニケーションが取れていないと踊れません」と秀樹さん。フォークダンスを一緒に踊り続けることで、思いやりの気持ちを育んでいるようです。「機嫌や体調が悪くても、踊るとなおってしまう(笑)」と裕美さん。
普段の話題も、交友関係も、休日もフォークダンス一色。夫婦共通の経験や趣味を持つことも、すてきな関係を築くポイントになりそうです。
檜垣明さん(52歳)・佳奈さん(55歳)
雑貨・燃料店を営む檜垣明さんと、犬の美容師として店を経営する佳奈さん。自営業の2人は、同じ敷地内に住居とそれぞれの店舗を併設しています。
仕事は別々ですが、3度の食事を一緒にすることが結婚当初からの習慣。3年ほど前から、「料理を作るのが好きなので何となく」と、明さんが昼食を作るようになりました。
取材に訪れた日のメニューはナポリタン。調理をする明さんのそばで、佳奈さんは皿を出したり、洗い物を片付けたりとサポートします。出来上がってテーブルに並べると、2匹の愛犬もそばにやって来ました。
「食べながら、しょうもないことやいろいろな話をしています。家族の介護の話をすることも」と明さん。でも佳奈さんは、「家族のことを思ってくれているのは分かるのですが、そんなに言わんといてということもあります」。おや、2人の雲行きが…。
「けんかじゃないですよ。これくらいの会話はしょっちゅうなんです。たとえ険悪になっても、一緒に食事をしているうちに関係が修復できます」。明さんのこの言葉を聞いて、佳奈さんも笑顔でうなずきます。
話ができ、そしてすれ違いを防ぐ機会が1日3回あるようなものですね。