先輩夫婦に学ぶ、コミュニケーション術

「週1回の買い物とお茶の時間が2人の楽しみに」

谷口泰彦さん(73歳)・八千代さん(74歳)

「荷物は男が持つもの」と泰彦さん。「昔からなんです」と八千代さんはうれしそう

週に1回は、夫婦で買い物に行くという谷口泰彦さんと八千代さん。泰彦さんが運転する車で食料品や日用品の買い出しです。

店では泰彦さんがカートを押し、八千代さんは献立に沿って食材選び。

「夫が食べたいものを自分でカートに入れるときもあるのですが、『こういうものが食べたかったのね』という発見もあります。体調を知るヒントにもなりますね」(八千代さん)

そんな谷口さん夫婦ですが、若くして飲食関係の会社を起業した泰彦さんは、「昔は夫婦のコミュニケーションなんて考えたことがなかった」と言います。

泰彦さんが八千代さんの買い物に付き合うようになったのは、仕事の第一線から退いた7年ほど前のこと。重い買い物袋を下げて帰ってくる八千代さんの姿が目に入ったのです。何度か「車を出すよ」と八千代さんに声をかけたことで、今のスタイルが定着。

「気遣ってくれるのもうれしかったし、お願いしたらとても快適で楽しかったんです」と八千代さん。

買い物帰りには、もう一つの楽しみが。いつも喫茶店でお茶を飲んで帰るのです。2人のコミュニケーションの時間は続きます。

リビング読者が大事にしているキーワードは〝あいさつ〟〝お互い〟〝会話〟

50歳以上のリビング読者へのアンケートからも、先輩夫婦のコミュニケーション術のキーワードが浮かび上がりました。

「心がけていること」では、「おはよう」「お帰り」をはじめとした「あいさつ」を上げる人が多く見られました。「ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、「お互い」の気持ちを尊重、「会話」を大切にしているという声も。日ごろの何げない部分の心がけを大事にしている読者が多いようです。

ほかにも「買い物」「旅行」「休日」「散歩」といったシーンでコミュニケーションを図っているよう。

これらのコミュニケーション術に行きつくまでには、やはり「失敗した」ということもあるようで…。「〇〇し過ぎた」「無理をした」という声に続き、「疲れ」を訴える回答もありました。頑張りすぎないことも重要かもしれませんね。

大切にしているのは─

朝、夫の出勤時には姿が見えなくなるまで見送り、帰ってきたときは玄関まで出迎えます。見送りについては、いつ何が起きるか分からないので、これが最後になるかもしれないと思って続けています(夫60歳・妻54歳)

京都に長く住んでいるものの、出身地が違うため京都のことをよく知らなかった。子どもが大きくなり、週末の時間を2人で過ごすようになったので、散歩がてらに霊場めぐりやテレビで紹介されていた神社仏閣へ。今まですれ違いの生活だったから、老後、暮らしていけるのか不安だったが、ちょっとした会話が楽しめるようになった(夫54歳・妻53歳)

相手に何かをしてもらったら、感謝の気持ちを必ず伝える。「ありがとう」と言っても、何の害にもなりませんものね。夫婦の間で「ありがとう」と言い合えるのは、関係が円滑にいっているからだと思う(夫63歳・妻62歳)

失敗したのは─

夫の帰宅が遅いと心配で起きて待っていることもコミュニケーションの一つと思っていたけれど、自分が健康でいることがお互いの幸せのために大切だと分かり、先に寝るようになりました(夫58歳・妻55歳)

結婚58年、82歳の〝大先輩夫婦〟が回答!

結婚58年、ともに82歳のSさん夫婦。夫の定年後、「それぞれが病気になったときにお互いの協力が必要と感じた」ことをきっかけに、家事を通してコミュニケーションを深めている〝大先輩夫婦〟です。
Sさん夫婦が、50歳未満のリビング読者から寄せられたコミュニケーションについての質問に答えてくれました。

子育て中と子どもが巣立った後では、夫婦の関係は変わりましたか(妻・34歳)

Sさんの妻から

「子どもの成長の先に巣立つときがくるので、いきなりいなくなるわけでないと分かっていても、子どもが結婚した直後はさびしさを感じました。でも、心からお互いのことを思ってきた夫婦の関係に影響があったわけではありませんよ」
育児や家事を協力し合うことについて。
思っていることははっきりと伝えた方がいいでしょうか(妻・36歳)

Sさんの妻から

「今は協力して家事をしていますが、昔は、夫は仕事、妻は家事育児と分けて、それぞれの担当に口を出さずにやってきました。責任をもってやっていたので、夫が口を出さないでくれたのはよかったです。伝えるのがいいのか伝えなくてもいいのかは夫婦によって違うと思いますが、夫婦の歴史が関係をよくしてくれることもあります」
いつまでも仲良くコミュニケーションがとれる方法は?(夫・42歳)

Sさん夫から

「お互いに認め合い、尊重しあうことです。そのおかげで、私たちは今でもいい関係を保てていると思います」

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