整理の結果、62着の服を手放せたANさん。1面で紹介した以外の手放すコツを、吉川さんが教えてくれました。
まずは手放す服の仕分けについて。自分の中でルールを作っておくと、分別が楽になるといいます。
「例えば、引き出しに入れるジーンズは1列に並べ、洗濯したら右端にしまうように。すると、着る機会が少ないジーンズが左にずれていきます。使用頻度が低いものを分類する手間が省けるんです。
新しい服を買ったら、その分持っている服を手放しましょう。そうすれば、手持ちの服が増えることはなくなります」
手放すことをきっぱりと決断できない人には、こんなアドバイスも。
「自分で決められないなら、整理するときに家族に立ち会ってもらっては。『もう傷んでいるよ』といった一言が、気持ちを後押ししてくれます」
子ども服は大人よりも手放しやすいのでは、と吉川さん。
「お下がりの文化がある子ども服は、人に譲るハードルが低い傾向があります。子ども服の交換会などのイベントも行われているので、気軽に手放すことができると思います」
どうしても残しておきたい服も、着ていなければ手放した方がいいのでしょうか。
「思い入れのある服は、手放すと逆にストレスになることも。時間がたつと気持ちが切り替わる場合もあるので、今すぐに何でも手放さなくてもOKです。一緒に収納すると服を選ぶときに不便なので、いつも着ている服とは分けて保管してください」
読者アンケートによると、着ていない服の数は、20~50着という人が多数。なかには「200~300。整理する時間がない」(NM)という人も! 手放し方としては「捨てる」との回答が多いものの、さまざまな工夫が見られました。
例えば、捨てる前に「カットして〝ウエス〟にします」(OR)。〝ウエス〟とは、古着を再利用して雑巾にすること。最後は掃除アイテムとして活用するのも手放す方法の一つですね。
リサイクルは古着店などへの持ち込みが定番ですが「衣料品店のリサイクルコーナーへ。発展途上国に寄付されます」(TA)、「区のリサイクルセンターに持っていく」(ゆず)と、ほかにも方法があります。
フリーマーケットに関して上がったのが「最近はアプリを使って出品しています。手軽にできて便利!」(OY)との意見。「ネットオークションに出します」(Jibanyan)など、インターネットを活用する人が増えているようです。
「気に入った生地はリメイクします」と教えてくれたのはWNさん。2枚のスカートを組み合わせたバッグや、ジーンズを活用した巾着などを作ったそう(写真)。「枕カバーや座布団カバーに再利用します」(しゅわちゃん)という人もいましたよ。
「もうすぐ2歳になる男の子がいるんです」「これはどうですか? ブルーが好きなら喜びそう」
子育て中のお母さんたちが集まっていたのは、中京区役所。親子向けイベント「ベビサポ広場」の一環として月1回実施される、子ども服を中心としたベビー・キッズ用品の交換会が開かれていました。
企画しているのは、3人のお母さんが結成したグループ「コデカケ」。中京区役所や左京区役所などと協力し、定期的に交換会を開催しています。
「子どもがまだ幼稚園に行っていない時期は、地域に知り合いが少なかったんです。そんな人もお下がりを交換できる場があればと思って始めたのが、この交換会。幅広いサイズのものがそろう点が喜ばれています」とは、メンバーの小出奈穂さん。
参加者には持ち込んだ点数(子ども1人につき5点まで)に応じてチケットを配布。気に入った品とチケットを引き換えるシステムです。
参加者からは「子どもの成長は早いので、すぐサイズが合わなくなります。着られなくなった服が必要な人の手に渡るのはうれしいこと。代わりにぴったりな服を探すのも楽しいです」との声も。
「このTシャツかわいい!」「こっちのズボンと合わせるといいかも」と、スタッフと参加者で盛り上がっていました。
次回は、左京区役所で10月12日(木)午前10時~正午、中京区役所で10月26日(木)午前10時~11時に開催予定。
立命館大学総合心理学部
教授
サトウタツヤさん
「もったいない」「思い入れがある」。そんな服を手放せない理由について、「面倒な整理を後回しにするための言い訳です」と、立命館大学総合心理学部教授のサトウタツヤさんの意見は辛口。とは言うものの、「私も服をため込んでしまうタイプです」と笑います。
「手放せないと言うのは、無意識のうちに自分を正当化する理由付けをしているだけなんです。いざというときのために残しておくと聞くと計画性があるようにも感じますが、決断を先延ばしにしているのと同じです」
手放すためには、どう気持ちを切り替えればいいのでしょうか。「もったいないからとっておくという考えは転換を。せっかく持っているのに着なかったり、そうした服にスペースを割くのが〝もったいない〟と思えば、認識を変えられます。奥にしまい込んでいて存在を忘れている服は、なくても困らないはずです」
残している服にどのような価値があるのか、改めて考えてみることも大事だそう。
「『高価だった』『人からもらった』といった〝過去〟や、『今後着るかもしれない』という〝未来〟ではなく、〝今〟必要なのかで判断を。自分で決められない場合は家族を頼るのも一案。ただし、一度頼ったらその決定に文句を言ってはいけません」