二つ、三つ、四つ…。きれいに三角に握られたつやつやの塩むすびが、次々と大皿に並んでいきます。それを見て「食べていい?」と待ちきれない様子の子どもたち。おむすびを作っているのは奥野由美さん(44歳)の母・晴美さん(68歳)です。
「母はいつも熱々の炊きたてのごはんで、手を真っ赤にしながら握ってくれます。最期に何を食べたいかと聞かれたら、絶対にこのおむすびです」と由美さんは言います。食が細かった幼いころも、これだけは大好きだったそう。
「具は、地元・城陽の青谷の梅で作った梅干し。のりやとろろ昆布でまくことも。海やスキーに行くときも、いつだって食べていました」
子どもたちも「おばあちゃんちで何食べたい?」と聞くと、いつも回答は塩むすび。5合分のおむすびもあっという間になくなるそう。
「同じように握っても同じおいしさは出なくて、母ならではの技があるのかと不思議です」
水口綾乃さん(32歳)は、祖父母が地元の茨城で作ったお米を食べて育ちました。
「京都に来てからも食べ続けています。この時期はなんといっても新米。祖父母から毎年たくさん届きますが、つやが違ってテンションが上がります。結婚後は、夫の実家から亀岡のお米もいただき、互いの地元の味を交互に食べられるのがうれしいです」(綾乃さん)
夫・敦志さん(34歳)も「おいしいご飯があればおかずはなくてもOK」と語るほどで、水口家では3食必ずごはん。夫婦2人とも、ほかほかの白ご飯の上に焼きサケや照り焼きのお肉などのおかずをのせて食べるのが好きなのだそう。
一方で、1歳の息子・啓一郎くんは、ひじきなどの混ぜごはん派。「ゆくゆくはごはん自体のおいしさもわかるようになって、自然や作っている人に感謝できるようになってくれたら」と期待をしています。
昔、よく海外旅行に行っていたという黒本由佳さん(39歳)。帰りたくなる理由は、「日本のおいしいお米が食べたい!」だったそう。
「パンも好きですが、やはり日本人はごはん。お米が立つくらい硬めのごはんが好きなんです。炊きたての香りがたまらないので、時間を置かずにすぐに食べたいですね。甘辛く炒めたじゃことシシトウがあれば、とまりません。昆布のつくだ煮やしょうが焼きもいいですね」
長男・和磨くん(3歳)も、解凍したものよりも、炊きたての方がよく食べるのだとか。
「ある日、急にどこで覚えたのか『おかわり』って自分から言うようになったときは、うれしくておかしくて。外へ出かけても、遊ぶより先におにぎりが入ったお弁当を食べようって言います」
「私にとってお米は力の源。ごはんをしっかり食べると元気が出るので、3食いただきます。好きなおともは、梅干しやカツオでんぶ、ひじきの炊いたんです」と話してくれたのは、米店「お米のたけうち」の竹内さん。お米について幅広い知識を持つ専門家「お米マイスター」の中でも、最高ランクの「五ツ星お米マイスター」の称号を持っています。
今回は、読者のお米に関する疑問に答えてもらいました。
「私自身、おいしい炊き方についてはよりよい方法を求めて研究中。日々、お客さんの声も聞きながら情報収集をしています」