「いってらっしゃい」「もう赤になるから、次の信号で渡りましょう」。小学生をはじめ、道行く人に毎朝声掛けをする交通指導員の黒川裕子さん(36歳)。宇治市役所の東側、府道15号線と菟道第二小学校へと続く道が交わる、パチンコ店前の交差点に立っています。
通勤途中に車でこの場所を通るのが、読者の吉田由美さん(56歳)。
「歩行者が横断するとき、運転手に『ありがとうございます』と言ってくれるのが印象的。よく通る声に、力が湧いてきます。交通量も多くて忙しいでしょうに、いつもにこやかなんです」(吉田さん)
確かにその通り。信号、車、通行人とあちこちに目を配らせながらも、黒川さんは常に笑顔です。
「大声なのでうるさいと思われているのではと不安もあったため、〝元気をもらえる〟と言われるなんてびっくり。安全運転をしているドライバーの方には、毎日感謝しています」(黒川さん)
そんな気持ちが、笑顔やお礼の言葉につながっていたのです。
サッと車に合図を出すスムーズな動きや、通行者から親しまれている様子から、ベテランなのかと思いきや…。
「交通指導員を始めたのは昨年です。前任の方は私が子どものころから、30年以上続けてくださっていました。私もあと30年は頑張ります!」
この季節の風物詩・ラジオ体操。地下鉄「五条」駅近くの修徳公園では、夏に限らず毎朝7時過ぎから行われています。読者の花水知子さん(55歳)が紹介してくれたのが、そのラジオ体操を主宰する福井謙三さん(73歳)。
「雨の日でも休まず続けているのは本当にすごい! しんどいわ~と思う朝も、パワフルに活動している福井さんに会えば、気持ちがシャキッとします」と、花水さんは話します。
一方、「『元気をもらえる』と言われるのは光栄ですが、特に意識していることはないんですよ。毎朝の体操はやはり疲れますし(笑)」と、正直な思いを語ってくれた福井さん。
ですが、朝の活動はラジオ体操だけにとどまりません。その1時間前から、4、5人の地域の人と実施しているのが公園の掃除。そうした行動が、無意識のうちにパワーを与えているようです。
「ラジオ体操をスタートしたのは、修徳公園が完成した16年前。町に活気が出ればと始めました。参加者は10~20人。これからも続けていきたいです」(福井さん)
花水さんによると「福井さんは学区の有名人。近所の人と話しているときも、『何かあったら福井さんに相談しよう』と、すぐに名前が上がります」。困り事があった人も笑顔になる、福井さんは町の〝元気のもと〟なのですね。
向日市一文橋の交差点の東側、道を1本北に入った場所にある「Coffee House 響屋(きょうや)」。同店を営むのが、マスターの星野泰亨(やすゆき)さん(69歳)です。
「外掃除をしながら誰にでも爽やかにあいさつするマスターに、いつもエネルギーをもらっています」と言う読者の嶋田澄恵さん(42歳)に、「そんな大層なことはしていませんよ」と答える星野さん。
喫茶店を始める前は高校教師をしていたとあって、「あいさつは当時から心掛けていました」。
星野さんにとっては自然なことも、子育て中の嶋田さんからすると、「子どもに『あいさつをしなさい』と言いますが、大人の方が返事をしてくれないことも多くて。誰にでも元気よく声を掛けるマスターは、まさに見本です」とのこと。
そしてさらなる情報も。朝の掃除は店先だけではないのだとか。徒歩15分の場所まで足を延ばし、さらに日曜日には1時間かけ、この辺りを清掃しています。
「地域一帯をきれいにできればと思って始めました。…まぁかっこつけるとこんな言い方になってしまいますが、朝早くから動くと体の調子がいいというのが本音です(笑)」
あいさつや掃除。こうした心掛け次第で、自分も周りも元気になれるのかもしれません。