3月といえば、旅立ちの季節ですね。学校を卒業したり塾を辞めたのも、もう何年も前のこと…。それなのにずっと心に残っている先生、同級生といまだに話題になる先生はいませんか。「心に残る一言をくれた」「出会ったことで人生が変わった」など、読者の忘れられない先生にまつわるエピソードを紹介します。
「実は今日、持ってきたんです! この学級通信、先生が毎日手書きで作って終礼で配ってくれていました」と上田妙子さん。広げたわらばん紙には、日々の出来事などがびっしりと書き連ねられています。
「うわー、よく持ってたな。困ったときは『何かネタないか』って生徒に聞いたりしてな(笑)」とは学級通信の作成者であり、京都教育大学付属桃山中学校で上田さんの担任をしていた土肥義徳さん。「『今日の学級通信は?』と聞くことが、子どもとのコミュニケーションになっていると親御さんから聞いたときは、うれしかったですね」
ほかに土肥さんが作っていたのが〝班ノート”。
上田さんによると、「班ごとにメンバーで回して書いていきました。普段は言えないことも文字にすると書けたりして、みんなと仲良くなれた記憶が。先生がコメントも書いてくれました。社会人になって飲食店で店長をしたときも、その記憶があったからスタッフたちと交換ノートをしたんですよ」。マメで、熱く優しい先生は、今もずっと変わらず大切な存在です。
桂中学校で出会った理科の先生・池田久美さんに憧れて、同じ道に進んだ山本智子さん。
「女性で理科の先生というのがかっこよかったし、授業も丁寧でちょっとした雑談も楽しかったです。当時は1クラスに45人ほど生徒がいましたが、誰かが分からないといっても放っておかず、一人一人を大事にしてくださいました。人気の先生でしたね」と山本さんが言うと、「いえいえ、とんでもない。穴があったら入りたい(笑)」と池田さん。「当時は教師1年目だったこともあり、自信もなくて無我夢中。ただ先生は決して偉い人ではないとずっと思っていて、生徒にも助けてもらいながらやってこられました」
山本さんにとって、今でも池田さんは目標なのだとか。
「一度、友達と掃除をさぼったときに、先生に怒られました。でも、頭ごなしではなく、『なぜさぼったの? どうすべきだと思う?』と聞いてくれて。流さずにちゃんと向き合ってくれるんだとほっとしました。私も生徒に対しては、悪いことをしたときは先生のようにきちんと接しようという気持ちでいます」(山本さん)