異なるジャンルで活躍する2人が語り合うと、話はどんな展開になるのでしょう。それぞれの写真の右側にいる皆さんに「話してみたい」と思う相手をリクエストしてもらい、対談がスタート! キーワードは「京都」と「女性」。ですが、話はどんどん広がっていき…。一つの事柄に対する、異分野の2人の捉え方の違いも感じられますよ。
※発言者の名前は敬称略
「聞きたいことがたくさんあって、私ばかりが質問してしまうかもしれません」との東山篤規さんの言葉から始まった対談。研究テーマの〝知覚〟と、光永圓道さんの修行がリンクします。
東山 お生まれは東京とのことですが、東京と京都で違いを感じたことはありますか?
光永 言葉ですね。以前はお師匠さまに「お前の言葉はトゲがある」と言われていました。
東山 べたべたしない物言いは東京の上品さかもしれませんが。
光永 寺は全国の修行僧が集まり複数の地域の言葉が入り交じるため、違いを認識したのは花園大学に入ってからでした。
東山 今回のキーワード、〝女性〟と関わりますが、結婚はどうお考えですか。
光永 28歳で千日回峰行をすると決めてからは結婚を諦めました。恋人がいると集中できないと思ったので。
東山 普通の若者の感覚ですね(笑)。頭をそり、たくましい体で歩く姿は女性にとって魅力的だと思いますよ。歩くといえば、千日回峰行は7年間でほぼ地球1周分の距離を自分の足でお参りする。アスリートに近いイメージです。
光永 身体状況は似ていますね。9日間お堂にこもる「堂入り」に向けて、食事の量も徐々に落としていきました。いつもご飯を1日4合食べていたので、人並みになったくらいかもしれませんが…。でも、アスリートのように記録を競う〝目的〟ではなく、お参りの〝手段〟という点で違いがあります。
東山 私の研究分野なので興味があるのですが、「堂入り」では知覚が鋭くなると聞いたことがあります。
光永 暗い中にこもっているので、聴覚、嗅覚などは敏感になります。山のふもとを通る電車の音が聞こえたり、手伝いの僧が何を食べてきたかがわかるんですよ。視覚が鍛えられるのは山を歩くとき。邪魔になるので眼鏡を外していたら、目の上手な使い方が自然と身に付いたようです。ちなみに、イグノーベル賞を受賞された股のぞき効果(※)の研究は何かに生かせるのですか?
東山 おもしろいから研究しているというのが正直なところです(笑)。知覚の研究の解釈はいくつもあるので、答えを追い求める分野とは違いますね。でも、うまく生かせるよう頑張ります。
※前かがみになり股の間から物を見ると、実際より小さく見える現象
野菜の栽培、家づくりと好きな仕事に打ち込む宇賀真由美さんと杉浦智美さん。
杉浦 服に着けているブローチ、野菜ですか?
宇賀 カゴ盛りになった野菜がモチーフです。店に置いている、作家さんの手作り品なんですよ。ところで、杉浦さんは仕事で〝京都〟を意識したことはありますか?
杉浦 クライアントの家へ行って感じるのがおもてなしの気遣いです。季節の花を飾っていたり、おいしいお茶をいれてくださったり。やはり京都は人を迎えるという姿勢があるのだと思います。お店では、お客さんとどんなやりとりをされるのですか。
宇賀 「この前食べたあの野菜がおいしかった」など声を掛けてもらえるのがうれしいですね。地元の方が多いからか「この野菜はこうして食べるといい」と、逆に教えていただくことも。
杉浦 料理といえば、やはり女性は台所などにこだわりがあるようで、家づくりの打ち合わせにはほとんど奥さま一人で来るんです。女性のこだわり、行動力はすごい!
宇賀 杉浦さんの主宰するイベントの出店者も、エネルギーのある女性がたくさんいますよね。私も以前出店しましたが、良い方ばかりが集まっていて驚きました。
杉浦 周りの方には恵まれていますね。忙しいときに手伝ってくれる家族にも支えられています。子どもたちも、よく私の仕事の話を聞いてくれるんですよ。
宇賀 すてきな関係ですね。
杉浦 大変な毎日も、楽しいから頑張れます。