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2017年、年金改正のポイントをチェック

〝年金〟と聞くと、仕組みが複雑でよく分からないという人は多いのでは? とはいえ、老後の貴重な収入として無関心ではいられませんよね。
今年は、年金を取り巻く2つの改正が注目されています。それが、年金を受け取るために必要な納付期間(受給資格期間)の短縮、確定拠出年金の対象者拡大です。ファイナンシャルプランナーの伊藤俊輔さんに解説してもらいました。

年金受給の納付期間が25年から10年に

まずは、年金の仕組みをおさらいしましょう。

社会保険制度の一つである公的年金は、国民年金保険と厚生年金保険に分けられます。

国民年金は、日本に住所を持つ20歳以上60歳未満のすべての人が加入する義務があり、会社員や公務員が対象の「第2号被保険者」、第2号被保険者の扶養配偶者の「第3号被保険者」、自営業者や学生など第2号・第3号以外が対象となる「第1号被保険者」の3種類で構成されています。

一方、厚生年金は、厚生年金保険制度が適用されている会社や事業所などで働いている人、つまり前述の第2号被保険者が加入する制度。給与から徴収される厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれているため、厚生年金の対象者は自動的に国民年金にも加入していることになります。この公的年金の構造を表したのが下の図です。

では次に、公的年金の3つの保障について紹介します。まず、将来的に年金を受け取れる「老齢年金」。そして、病気やけがで所定の障害の状態となった対象者に支払われる「障害年金」と、被保険者が死亡したときに遺族に支給される「遺族年金」。「老齢年金」の保障の内容に促して、年金を受け取れる原則65歳からは、国民年金部分が〝老齢基礎年金〟、厚生年金部分が〝老齢厚生年金〟と名称が変わります。

公的年金以外で“年金”の名称がつくものは、自助努力などで用意する将来資金です。その一つの「確定拠出年金」は2面で解説します。

年金額は、納付期間で異なります

今回の改正ポイントは、今年9月分から、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間がこれまでの25年から10年に短縮されること。※受給資格期間=保険料を納めた期間や免除期間などを合算した期間

国民年金は、第1号被保険者であれば月に1万6260円を支払っています(2016年度)。

「受け取る権利を得るために必要な期間が、現在と比べると15年短くなります。70歳未満であれば、未納分の保険料を支払える場合があるので、役所の国民年金課に問い合わせを。そういった人を含め、期間が足りずにあきらめていた人も年金を受けとれる可能性が出てきます」。その数、全国で約64万人になるのだそう。

ただし、受け取れる年金額は、納付期間によって差があることをお忘れなく。国民年金は、20歳以上60歳未満の40年間の全期間を納付してはじめて、65歳以降に満額の年78万100円、1カ月あたり約6万5000円が受給できます(2016年度)。

納付期間が短ければ、それだけ受け取る年金の金額が少なくなります。10年では約1万6000円、20年では約3万2500円という試算になると伊藤さん(それぞれ1カ月あたり)。

「公的年金の加入者には、毎年誕生月に『ねんきん定期便』が送られてきますので、加入期間を必ず確認してください。『ねんきん定期便』に記載されているのは、あくまでも〝これまで〟の記録。将来的に支給される年金額は、試算が必要です」

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