ペンネのもちっとした食感と、かために火を入れたゴボウの歯ごたえ、二つの口当たりが楽しい一皿。素朴な味わいのゴボウと、甘みのあるひき肉は相性ぴったりです。仕上げの粉チーズがまろやかさをプラスしています。
Osteria Sempre
(オステリア センプレ)
前慎哉さん
「和食の〝牛ゴボウ〟からヒントをもらい、ゴボウとミートソースを組み合わせました。ミートソースには赤ワインを加えるのが一般的ですが、ゴボウの風味を生かすため、優しい口当たりの白ワインを使っています」
だしの上品な味わいが引き立てる、ゴボウの豊かな風味。特徴的な香りが鼻に抜けていきます。2種のキノコも秋らしさを感じさせる一品です。すりおろしたナガイモの、ツルリとしたのどごしもポイント。
四季 なか村
中村真規さん
「本来は豚肉の背脂を用いますが、今回は油揚げで代用しました。シイタケやそうめんを入れたりと、好みで具材を増やしてもいいですね」
京野菜の一つ、堀川ゴボウ。11月~12月に収穫が行われます。通常のゴボウよりも太く、中が空洞になっているのがその特徴。どのように栽培されているのかを見に、畑へ向かいました。
京野菜を栽培する「嶋石」の石割照久さんの元へ取材に向かったのは、9月下旬のこと。
「一般のゴボウの栽培期間は半年ほどですが、堀川ゴボウは収穫するのに1年以上かかります。まず苗を育て、ゴボウとなるその根を6月に植え替えるんです」と石割さん。
苗と聞き、手のひらに収まるくらいの大きさを想像していた記者。ですが、石割さんが「こちらです」と指した苗はすでに茎が伸び、大きな葉をつけていました。土の中では、これからゴボウになる根が成長中です。
「植え替えた後の、間もなく収穫する堀川ゴボウも見に行きましょう」。そう言う石割さんと訪れたのは、京都大学農学部のキャンパス。京都大学教授・農学部の間藤徹さんと石割さんが、学生たちとともに手がけている「石割京大農園」が構内にあります。農園に入ると、見覚えのある葉を発見。先ほどよりも一回り大きい、堀川ゴボウの葉です。
石割さんが土を掘り返すと、出てきました、堀川ゴボウ! 「まだ小さいなぁ~」とのことですが、太さは直径5㎝に達しています。
収穫時には直径10㎝、長さ80㎝ほどに成長するそう。そのおすすめの味わい方を聞きました。
「輪切りにして中をくりぬき、魚のすり身やひき肉を詰めて炊くとおいしいですよ。薄くスライスして油で揚げると、おつまみにぴったりのゴボウチップスに。いろいろな料理に活用してもらえたらと思います」