人間関係のストレスや忙しさ…。仕事を続けるのがつらそうな夫の姿を見たとき、妻としてどう接したらよいのでしょうか。家庭の状況やそれぞれの性格によっても変わるため、これが正解!とはなかなか言えませんが、実際にそのような状況になった読者の〝答え〟と専門家のアドバイスを紹介します。夫からのSOSを感じたらこの紙面を思い出してみて。
教えてくれたのは
「日本産業カウンセラー協会 関西支部 京都事務所」
所長・シニアカウンセラー、
「京都産業保険総合支援センター」
メンタルヘルス対策促進員
今坂一郎 さん
ある日、「仕事を辞めたい。明日からとりあえず休む」と夫から報告があり、びっくり。管理職になって仕事が多忙になった上、大きな責任が降りかかり追い詰められていたようです。話しかけても上の空など、兆候はありました。
楽観的な私とは対照的に、神経質でまじめな人がそれだけ悩んでいるのならと、「休みながらのんびり考えて、あなたの好きなようにしてほしい」と言いました。ちょうど、子どもの大学も決まり一段落したと感じていたとき。長い人生なので、自分が望む道を歩んでもらいたい、いざとなったら専業主婦の私がパートで働くのもありとの考えも。
それからは、2人でドライブをしたり遊園地で遊んだり、海外旅行にも行ってみたいとパスポートを取るなど、今まで夫が忙しくてできなかったことを楽しみました。その間も「どうしようか」と、常に悩んでいる様子でしたが…。
会社から連絡があったのは、休みを取ってから約1週間後。話し合い、引き止められたようで、改善するという約束で結局は会社に戻りました。仕事は本人がするものなので、これからもどんな決断をしたとしても、任せようと思っています。家では多少のわがままは許してゆっくりできるようにしたいです。
心掛けたのは、夫の投げたボールをきちんと受け止めること
ちょこっとママさん(53歳)
夫が勤める会社の経営が厳しくなり、希望退職を募るように。一緒に働いてきた仲間の中で、誰が名乗り出るのかで社内がギスギス。夫もまいってしまい、弱音をはいたり、1週間ほど仕事を休んだことがありました。
私までどよーんとするとプレッシャーを与えてしまうと思い、どんな話題が出ても、常に雑談のように軽く話しました。
伝え続けたのは、「あなたがしたいようにしたらいい。背負い込む必要はないし、どちらを選んでも何とかなるよ」ということ。ただし、突き放していると思われないよう、夫が投げたボールはきちんと受け止めるように心掛けました。例えば、辞めようかという話題が出たら「それもいいと思う。ローンは終わっているし、しばらくは貯金でやりくりできるよ」などと話したり。
決断を夫にゆだねたのは、実は自分のためでもありました。もし私が決めると、あとから責任が降りかかる可能性があると思ったのです。また、私がパートをする覚悟もありましたが、それも言わないようにしました。
その後、早期退職に至りましたが、自分で決断をしたことで夫もふっきれて現実を受け入れられたようです。
言葉にして何かを伝えると、場合によっては相手が批判されたり意見を押し付けられていると感じてしまうことがあります。それを避けるために、〝あなた〟ではなく〝私〟を主語に話すのが一つのポイント。「(あなたは)○○したらいい」よりも、「(私は)○○したらいいと思うけれど、どうかな?」の方が、責められている印象は薄くなり、気持ちが自然と伝わりやすくなります。
さとゆうママさんもちょこっとママさんも「パートで働くのもあり」と思いながら口には出していなかったようですね。こういったことを伝えた場合、自分は必要ないと突き放されているように思うこともあるので、注意してください。
いざとなれば自分が働くのもありと思っていました
さとゆうママさん(43歳)