仕事がしんどい夫、そのとき妻は?

いつも応援

毎日のお弁当にメッセージやイラストを添えて
ニャーちゃんさん(40歳)

6年前、夫が仕事に行くのがしんどそうな日が続いているときがありました。「どうしたん?」と聞いても、ぐちや不満は口にしない人。周囲から何か言われるのが嫌いなことも分かっていました。とは言え、子どもがまだ小さいし、会社を辞められたら困るという思いも。

そんなとき、思い出したのが昔、友人から聞いた話でした。落ち込んでいるとき、母の手紙がおにぎりに添えられていたことで、応援してくれている気持ちを感じて元気が出たというものです。

私も一筆箋に「応援しているよ」「暑い中お疲れさま」などと、毎日一言メッセージやイラストを書いて、夫のお弁当に添えることに。朝、仕事に行くときには「頑張って続けているあなたはすごいよ」などと、声をかけることもありました。

夫は毎日、「手紙読んだよ。ありがとう」とメールをくれていました。そんなある日、夕食を食べているときに突然、「仕事がんばるわ」と。それからは、いつも通り元気な夫に戻りました。

応援のアドバイス

思いを整理して伝えたり、面と向かって言いにくいことを届けるのに、手紙はぴったりですね。
ただし、「頑張ってね」は、押しつけに感じる人もいるので、「いつも頑張ってくれて、感謝しています」など、自分の気持ちとして伝えると良いと思います。状況によっては励ましのメッセージを「これ以上、なにをどうすれば」と重荷に感じてしまうこともあります。夫の反応を見ながら送ってください。
ニャーちゃんさんのように、夫に仕事を辞められたら困るという人も多いと思いますが、元気になったらまた働ける、夫婦で支え合おうという気持ちを持っておくことが大切です。

あえて触れずに

家では心が休まるように、好きな料理を用意したり、そっとしておいたり
りんごさん(39歳)

休みの日も電話が鳴り続けるほど忙しく、ぴりぴりとしている夫。言葉にとげがあり、体力的にも精神的にも追い詰められているようでした。

昔、仕事のことで口出しをしたら「関係ない」と言われてしまったことがあったので、私からは何も聞かないことに。家ではイライラさせないようにしようと考えました。

夫の好きな料理を作り、おなかが減っている状態で待たせないように注意。疲れていても子どもの相手をしてしまう人のため、子どもがなるべく早く寝るように昼間存分に遊ばせておきました。「お父さんは疲れているから、今はそっとしておこう」と声もかけて。

2人だけで話ができるときには、普通の会話で終わってもいい、夫が話をしたそうだったら聞こうと心掛けたのです。

そうしていたら、ある日2時間近く話し続けてくれたことが。夫が吐き出してリセットする場だととらえていたので、ひたすら「そうだね」と肯定。次の日には乗り越えたのか、晴れやかな表情になっていました。

今は会社ばかりにならないよう、家族の予定を作るようにしています。疲れているときは、ゆっくり休めるようにそっとしておくに限ります。

見守り方のアドバイス

りんごさんは、自然に夫にとっていいと思う行動ができていますね。忙しい中でも普段から夫に目を向けて、どんなときに心が休まったり元気になるのか、分かっていたからできたことだと思います。最終的には、夫も自分が大事にされていると感じ、素直な思いを話したのではないでしょうか。
あえて触れないようにした読者の中には「部屋を掃除するように提案した」人もいたとのことですが、体を動かすことも気分転換に大切。負担にならないように気を付けながら、散歩に誘ってもよいかもしれません。

聞き役に徹して

夫の状況を把握することで、不満が少なくなりました
みっふぃーさん(39歳)

いつもは明るく冗談を言う夫が、不機嫌で口数も少なく話しかけにくい雰囲気。2カ月間同じ状態でしたが、何も言わないので、こちらは、「なんでそんな態度をとるの?」と、ついにはけんかに。そこで切り出されたのが「上司とうまくいっていない」という話でした。

当事者ではないし、分からないこともたくさんある私ができることは、とにかく夫の気持ちが楽になるよう、聞き役に徹すること。それまで用事をしながら話すことが多かったのですが、子どもが寝た後に2人だけの時間をとりました。そんなときに仕事の話題を振ると、驚くほどたくさん話してくれることが。深夜まで話すこともありました。同情されるのは嫌いな人なので、相づちを打つ程度にとどめました。

これで夫が楽になれていたかはわかりませんが、彼の状況を分かったことは私にとってプラスに働きました。夫に不満を持つことが少なくなり、土日はしっかり休ませてあげようと思えるようになったのです。

今思えば、けんかをする前からもっと話を聞けていればよかったんですよね。私も頑張っているんだから、父親ならこうしてほしいと望む気持ちが強過ぎたことを反省。今は求めすぎないようになったかなと思います。

聞き方のアドバイス

人は話をして、受け止めてもらえたと感じるだけで気持ちが楽になるので、聞くことは大切。このとき気を付けたいのが、〝傾聴〟です。これは、相手の言葉の裏に隠れた思いまで理解しようと耳を傾けること。自分の価値観で否定せず、ありのままを受け止めることです。みっふぃーさんの場合、傾聴ができていたから、夫も心を開いたのだと思います。
また、聞く側はアドバイスをしがちですが、整理しきれていないだけで答えは本人の中にあることがほとんど。まずは結論を急がずにじっくりと聞きましょう。

気をつけた方がいい夫のサインって?

「夫が仕事のことで元気がない」といった状態のときに、心配になるのが精神的な病。特にうつ病は今や珍しくない病気といわれていますが、家族はそのサインにどうすれば気づけるのでしょうか。引き続き今坂さんに聞きました。

うつ病ってどんな病気?

「そもそもうつ病とは、心と体のエネルギーが低下した状態のこと。普段なら何でもないことが、できなくなってしまいます。例えば、出勤前にネクタイを選ぶのに迷ってしまい、ひどく時間がかかることがあります。なりやすいのは、まじめで責任感が強く、完璧主義の人。いろいろな要素が重なって引き起こされると考えられています」と今坂さん。

いつもと違うが2週間続いたら…

周りの人が分かるサインとしては、「〝いつもと様子が違う〟がポイント。一概には言えませんが、眠れなさそうな日が続いている。疲れ切っていて、体力的にしんどそう。表情が暗く、気分が沈んでいるように見えるなどがあげられます。こうした症状が、1日、2日ではなく、2週間続くようなら要注意」とか。
早期発見がスムーズな回復につながるそうですが、疑わしい症状がある場合にはどうすればよいのでしょうか。「まずは夫に『何かあった?』と声を掛けてみてください。『大丈夫』と言っても本人が気が付いていない場合もあるので、気になるときは専門機関を一緒に受診したり、市町の電話窓口で相談をしてください」

うつ病について電話相談ができる窓口

以下の窓口では、精神保健福祉相談員、臨床心理技術者などの専門家が、うつ病などの心の病についての相談を受け付けています

  • 京都市を除く府内に住んでいる人
    京都府精神保健福祉総合センター
    TEL:075(645)5155
  • 京都市内に住んでいる人
    京都市こころの健康増進センター
    TEL:075(314)0874
  • ※いずれも月~金(祝日と年末年始を除く)、午前9時~正午、午後1時~4時

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