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災害時、どう使う?SNS

災害時、SNSを利用するなら
知っておきたいこと

教えてくれたのは

同志社大学社会学部 メディア学科教授 池田謙一さん
同志社大学社会学部
メディア学科教授
池田謙一さん
「情報を得る手段は多重化が大切。ルートが一つの場合は、それが断ち切られると情報を得られません。家族で落ち合う場所を決めておいたり、災害伝言ダイヤルを使ったり。いろいろなルートを用意しておきましょう」

1面で、熊本リビング新聞社の松田さんの「ラインが安否確認に役に立った」という声を紹介しましたが、そもそもラインとは個人と個人で、または複数でグループを作りメッセージを送りあえるサービス。電話のように通話もできます。

140字の文章や写真を投稿したり(ツイート)、選択した人のツイートを表示させる(フォロー)ことができるのがツイッター。フェイスブックは、写真や文章の投稿ができる点はツイッターと似ています。ですが、それをすべて見ることができるのは、個人のフェイスブックの場合、基本的には交流しあうことを承認し合った人だけ。これは“友達リクエスト”と呼ばれています。

この3つ以外にもSNSには種類がありますが、災害時の活用方法としてはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。同志社大学社会学部メディア学科教授の池田謙一さんに教えてもらいました。ここでは、ツイッター、フェイスブック、ラインの3つに絞って紹介します。

交流できる範囲や機能に特徴あり

「ツイッターは3つのなかでは最も開かれたネットワークとされています。フェイスブックのように友達リクエストをしなくても、フォローをすれば投稿を見られますからね。さらに、ほかの人のツイートを自分の投稿をフォローしてくれている人たちにも表示できる〝リツイート〟という機能を使えば、情報はどんどんつながっていきます。東日本大震災では、ビルに避難している人が状況をツイートし、救助につながったという事例があります。

ツイッターは、欲しい情報の検索も可能。
「時系列で表示されるので、新しい情報を得るのに役に立ちます。『○○町』や『#救援物資』というように、具体的な言葉や“#(ハッシュタグ)”をつけたキーワードを検索すると、欲しい情報だけを見ることもできるのです」

一方、フェイスブックは基本的には知人同士でのやりとり。
「流れる情報は限定的で、広まる力は比較的弱い。ですが、ツイッターのように匿名ではなく、実名が原則。発信者がはっきりしているのが特徴です」
広く情報を伝えたい、知りたいときはツイッター、知人にきちんと情報を送ったり、入手したいときはフェイスブックが役に立つといえそうです。

「ラインは個々人でのつながりですので、やりとりはさらに狭い範囲に。既読機能が安否確認に活用できるといわれています」
いずれもパケット通信を利用するため、基地局の設備が保たれて、利用可能な状態であることが前提。

「SNSは電話回線よりも比較的、混線しにくいといわれています。ただ、一度に多くの人が投稿をしたり、メッセ―ジを送ったりすれば動作が遅くなる可能性も」。災害時に不必要な投稿をすることは避けたいですね。

こんなことに気をつけて!

さまざまな活用方法があり、便利なSNS。
ですが、気を付けることもあるようです。

「情報の中には、デマが含まれている可能性があります。特にツイッターは匿名のメディア。大変なときですが、その情報が誰から語られているものかを調べたり、ほかのサイトでも同じ情報をチェックするなど取り扱いは慎重に」と池田さん。
SNSに限らず、情報を得る際に気を付けることも。
「テレビは全国に向けて発信していて、地域密着の情報とは限りません。それに多くは一番被害が大きいところを報道しているため、ひどい状況を目にしてストレスを感じてしまうこともあります。自分のいる場所に関する情報が欲しい場合は、周囲の人とのコミュニケーションを取ったり、コミュニティーFM、行政の広報といった地域のメディアに触れましょう。それからもう一つ。災害にあったとき、人はいつも使っているメディアを利用するものです。つまり、日頃から親しんでいないものは、うまく活用できないかもしれません」
災害時にSNSを利用しようという人は、普段から使って慣れておくのがおすすめです。

いざというときのために行政のSNSをチェック

災害時に欲しいのは、自分の住む町や市の確かな情報。
京都府や市、町など行政のSNS事情も知っておきましょう。

リビング京都の配布エリア内の行政に確認したところ、多く開設されているのはツイッターとフェイスブック。その両方があるのは、京都府、京都市(市の公式アカウントと防災危機管理室のアカウントあり)、城陽市。ツイッターを利用しているのは長岡京市、フェイスブックを利用しているのは宇治市と向日市です。

いずれも普段は行政からのお知らせを発信していますが、災害時には、ホームページやメールの配信などほかの情報ツールと合わせて警報や避難について発信されるそう。

活用事例や活用法について尋ねたところ、城陽市では「ツイッター、フェイスブックともに同じ内容を掲載。避難勧告や避難指示などの防災緊急情報を伝達する必要が生じた場合に当該情報及び避難所開設情報の発信ツールの一つとしてSNSを活用しています」とのこと。

長岡京市は「災害時または災害の恐れがある場合、市災害対策(警戒)本部設置、避難情報、避難所開設情報などを状況に応じて発信」。宇治市は「台風の際などに、市民への情報発信に活用」、向日市でも「台風や大雨が接近した場合の注意喚起の内容とともに、気象庁のサイトや向日市のホームページのアドレスを掲載」とのことでした。

大山崎町と久御山町は現在、SNSの開設はしていませんが、ホームページなどで情報を発信しています。

公式のSNSは行政のホームページから見ることができます。

京都府

  • 京都府広報課のツイッターとフェイスブックがあります
  • 気象に関する警報などの情報発信はツイッターを利用
    ※ツイッターが利用できない場合はフェイスブックを活用
  • 気象に関する警報(大雨、洪水、暴風、大雪、暴風雪、波浪、高潮)、
    震度4以上の地震、避難勧告及び指示などを発信
  • SNSのほかにも防災・防犯情報メールやポータルサイト
    「きょうと危機管理WEB」などの情報発信ツールを活用。
    災害時、ツイッターでの情報発信はそれらの補完的な役割を担います

京都市

  • 広報担当のツイッターとフェイスブック(京都市情報館)、防災危機管理室のツイッターと
    フェイスブック(京都市防災危機管理情報館)があります
  • それぞれのツイッター、フェイスブックで同内容をアップ
  • 京都市地域防災計画に基づき、必要な情報をその都度判断して発信(京都市情報館)。
    災害対策本部が設置された際、避難 に関わる情報を発信(京都市防災危機管理情報館)
  • SNSのほか、メール、ホームページ、広報車などでも情報を発信

SNSのほかにも、安否情報を
確認できるサービスがあります

災害が起こったときのために知っておきたい、
SNS以外の安否情報確認のためのサービスを紹介します。

  • NTT西日本「災害用伝言ダイヤル(171)」
    大災害が発生したときに開設されるサービス。音声情報を録音でき、その音声をほかの人が聞くことができます。録音するときは、「171・1・自分の電話番号」、そのメッセージを聞くときは、「171・2・メッセージを録音した人の電話番号」にダイヤルします。加入電話、公衆電話などから利用可能
  • 携帯電話各社伝言サービス
    大災害時に開設。安否情報やコメントを入力できます。その情報はインターネットなどを通じてほかの人が確認できます。情報が登録されたことを、指定しておいた家族や友人にメールで知らせるサービスも各社で行われています。
    利用方法は携帯電話の種類などによっても異なるので確認を。
  • ● NTTドコモ「災害用伝言板」
    被災地に住む人や滞在している人がドコモの携帯電話やスマートフォンの「災害用伝言板」にアクセスし、自分の状況を登録できます。一つの電話番号につき10件可。
  • ● au(KDDI)「災害用伝言板サービス」
    災害発生地域に住むau携帯電話の利用者なら、EZweb/IS NET/LTE NETやインターネットを通じて災害用伝言板に、自分の安否情報を登録可能。一つの電話番号につき10件まで。
  • ● SoftBank、Y!mobile「災害用伝言板」
    SoftBank、Y!mobileの携帯電話から、一つの電話番号あたり80件の安否情報を登録OK。

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