約50年の歴史がある、向島のそば・うどん店「かんばやし」は、石岡麻里さん(36歳)が幼いころに両親に連れられ、訪れていたお店です。
「20年ほど前にお店が移転してからは疎遠に。それが数年前、引っ越した家の近くにお店を開いていたことを知り、すぐに行きました。お店のおばちゃんと話したら、私のことを覚えてくれていてびっくり」と麻里さん。今は、夫や子どもと通う家族のお店になっています。
夫・伸章さん(37歳)は「だしがほんまにおいしいんです。いつも俺が行こうって言い出します」。すると「私では出せへん味なんやろ」と麻里さん。「それ、言わへんようにしてたのに(笑)」(伸章さん)
「子どもが苦手だった酢の物をここで克服した」「冬限定のメニューがいつから出るのか何回も聞くから、おばちゃんが出たその日に手紙で知らせてくれた」など、エピソードも尽きません。
「おばちゃんは昔から変わらず『おいでやす~』と笑顔で迎えてくれるんです」と麻里さん。また、伸章さんにとっても「お店に来ているというより、家で親が作ってくれるようで、ほっとできるんです。ずっと通い続けたいです」と、なくてはならない場所になっています。
20年前、小西寿昌(としあき)さん(56歳)が初めて訪れ、結婚してからは家族でよく行くようになった、伏見区の中華料理店「シーホース」。
いつもマーボー豆腐や酢豚など、ハーフサイズでさまざまな種類を頼み、分け合って食べるのだとか。さらに、「家族みんなが好き」というのが店長・石田大樹さんの人柄。長女・美桜(みお)さん(13歳)は、石田さんと必ず一言話をして帰ることが小さいころからの楽しみになっています。
過去には新作デザートの試食を頼まれたことも。「正直に意見を言ってくださりそうと思い、お願いを。実際に厳しい意見もいただきました(笑)」と石田さん。
寿昌さんは「あっさりめの味が好きなのと、変わらないこの雰囲気が、落ち着けるんです」。妻・佐登代さん(47歳)は、「この前来たのは、2週間前ぐらい。夕飯作りをさぼっているのがばれちゃいますね」。1カ月に2回ほどの楽しい休息日です。
入学式、進級、誕生日。節目や、あらたまった外食の機会に、三好家の定番となっているのが祇園の串鉄板焼き「竹茂(ちくも)」です。最初に三好由美さん(55歳)が知人と訪れたのが30年前。そこから常連になっています。
長女・由利子さん(24歳)は、「小さいときは掘りごたつにもぐって遊んでいて、弟の隆大(たかひろ)はお店のお父さんによく怒られていました」と言います。「それでも、小さいころからここがいいと言うのは息子。年頃の男の子でこんなに家族と外食してくれるのも珍しいですよね」と由美さん。
そんな話をしていると〝お店のお父さん”、盛田育宏さんが登場。「由利子ちゃん、仕事はどうや。隆大は留学するんか?」など話が絶えません。さりげなく気にかけてくれて楽しく話せる、そんなお店の人との距離感も、由美さんにとってちょうど良いのだとか。
「弟は私の倍ほど食べるから、いろいろな種類を頼めるんです。家族で来る魅力の一つですね」と由利子さん。由美さんの「いま18歳の隆大が就職したら、連れてきてもらおうと楽しみにしています」という言葉に、隆大さんも笑顔でうなずいていました。