人の思いがけない言動に、「えっ、なんで…」と戸惑うこと、ありますよね。でもそれを正面から受け止めていたら、イライラが募ってしまうことも。「いろんな人がいてるなぁ」と思えると少しはラクになるかもしれませんね。そこで、読者4人の「信じられないと感じた体験」への対処法を社会学の教授、コーチング講師、そして落語家の3人に教えてもらいました。人間関係にストレスをためない思考力を身に付けませんか。
社会学のコミュニケーション論が専門。「現代は多様な価値観が認められる社会。イライラの原因が実はこのような社会の特徴だと考えることが、解消の第一歩です」
国際コーチ連盟アソシエイト認定コーチ(ICF ACC)。「コーチングはこうしたほうがいいと教えるものではありません。あくまで選択肢の1つに」
「ときには、落語のネタ作りのために喫茶店などで人間観察。まさにいろんな人がいてます」。2月27日(土)午後2時から、大善寺(中京区裏寺町通六角下ル)の寄席に登場
PTAに、いつも自分の予定ばかり優先する人がいます。あまり直近になってから連絡しても困るだろうと思い、少し早めにミーティングなどの日程を伝えると「分からない」「今のところは空いている」との返事。そして当日になると「用事ができた」などと言って、欠席。振り回されて体調を崩してしまいました。こんな人ばかりではなく、頑張ってくださる人も多くおられるのですが…。このことがトラウマになり、PTAのお付き合いが怖くなりました。
「PTAは本当の有志の方もいれば、そうでない人もいる、まさにいろんな人がいる状況です」と京都学園大学人文学部教授の岡本裕介さん。
「昔は『やりたくなくてもやるのが普通』というのが一般的なルールでしたが、今は価値観が多様化して、そう思わない人も出てきています。社会が変わって、組織運営に矛盾が生じ、1人にしわ寄せがきているのかもしれません。Aさんのコメントからは、『部分的には自分が悪い』と思っているようにも感じました。でもそうではなく、今はもう、みんなを間違いなく動員できるような仕組みがないのです。『あかんときはあかん』とあきらめて」
コーチングオフィス円の高橋美佐さんはまず双方を分析。
「Aさんは私がこれだけやっているのに、どうしてあの人は自分を優先できるの?と感じてしまったのではないでしょうか。一方、相手の人は最初から『行けない』というのも角が立つし、行けるかもしれないし…。そのうちに別の用事が入ってしまって、そちらを優先したくなったのかも。Aさんとは違うことを大事に思う人なんですね」
ポイントは、自分と相手の両方が何を大切に思っているかを理解し、どんな関係を築きたいのかということ。
「Aさんは責任感の強い人。返事をあいまいにするタイプとは一緒に何かをしたくありませんよね。私とは違うんだと思って少し距離を置くようにしましょう」
「こういう人は気にしないでおきなさい。あーだこーだ言う人は世の中には大勢いるものです。PTAは組織。意識を同じにする人たちの集まり。できるだけ都合をつけたりと協力すべきだと思いますが、今はそうでないこともある社会ですから」とは落語家の笑福亭円笑さん。
さらに、「人が集まって何かする場合は〝放送局〟をうまく使って」とユニークな世渡り術も伝授してくれました。
「放送局とは、この人に話すとすぐに話が広まっちゃうというような〝おしゃべりな人〟のこと。例えばこの人に、『○○さんが参加してくれたから有意義な会になった』なんてことを話して、広めてもらう。それを本人が耳にすれば、うれしいものです。『じゃあ、ちょっと手伝おうか』と思ってくれるかもしれません。ただし、放送局さんに悪口はダメ。悪口は人づてに聞くと怒りが増しますからね」