京都市西京区の大枝(おおえ)には、多くのカキ農園があります。こちらで収穫されるのが、〝大枝のカキ〟。大きな実と、強い甘味が特徴なのだそう。地元で作られたカキを味わうことで、秋の深まりを感じるのも一興ですね。
「カキの花を見たことはありますか」。自らが撮影した写真を手に記者にそう尋ねたのが、「安井農園」の安井文知さんです。
現在78歳の安井さんは、中学校卒業後の16歳から大枝でカキの栽培を手がけています。この地域のカキ農園の様子も間近にみてきたベテランです。
安井さんによると、大枝で本格的にカキの栽培が始まったのは、1935年ごろ。安井さんの農園には70年たったカキの木もあり、先代から引き継いだ大切な資産だといいます。
大枝のカキは「冨有柿(ふゆがき)」という品種の岐阜県原産の甘ガキ。大ぶりで甘味が強いと評判です。
「大枝のカキが良いといわれる一番の理由は、大枝地域の西側にある西山の存在です。実が甘くなるためには夏から秋にかけて、昼夜の寒暖の差が大事。この辺りでは、昼間は暑くても、西山の陰になっているため日没が早く、夜はすーっと冷え込みます。おいしいカキは西山と太陽の恵みです」
もちろん、手入れを工夫する努力も怠りません。
「約30年前から、5月の開花時期に養蜂家からミツバチの巣箱を借りて畑に置いています。ミツバチが農園のカキの木に咲く雌花、雄花を飛び交って交配してくれるんです。
また15年前からは〝一枝一花(いっしいっか)〟といって、一本の枝に咲く花を一つだけ残して、あとはすべて落とす作業もしています。大きな実を育てるためには、このやり方が大切。この作業をする時期は、仕事をリタイヤしたシルバー世代の方の手も借りています」と安井さん。
こうした農家の人たちのたゆまぬ努力と、大枝の自然条件がおいしいカキを作り出すのですね。
早いものだと10月初旬から販売されていますが、本格的なシーズンはちょうどこれから。12月半ばまで、府道10号沿いの通称“柿街道”に、もぎたてのカキが積まれた直売所が軒を連ねます。
手に入れたカキはそのまま食べても良し、料理に変身させても良し。2面で紹介するプロのレシピも活用してみて。
もぎたてのカキをガブリ! そんな楽しみ方ができるのがカキ狩りです。
家族で出かけてみませんか。
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