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実はこれ、京都発なんです!

古くから伝わる伝統工芸に加え、ハイテク、工業などさまざまな産業が盛んな京都。地元にとどまらず、全国各地でその〝モノづくり〟の技術が役立っています。そこで今回は、文化と医療の分野をクローズアップ。京都生まれの技がこんなところでも!という驚きがありますよ。

岡本啓助工房

国会議事堂で使われているフリンジ。上から衆議院御座所、参議院御休息所、閣議室の3種

地下鉄「五条」駅近くの住宅街にある「岡本啓助工房」。明治時代に創業した〝房〟の製作工房です。

「昔は袱紗(ふくさ)につける房を作っていましたが、今は祭りの装飾に使う和房と、カーテンのフリンジやタッセルといった洋房のあつらえ品が多いですね」と話す3代目主人の岡本宏一さん。

20年ほど前には国会議事堂の閣議室などのカーテンフリンジを作ったことも。「文化庁から耐用年数は50年と言われたので、まだあるでしょう」と誇らしげな笑顔。工房に保管しているその一部を見せてもらいましたが、時間の経過を感じさせないつややかさです。

「材料には主に正絹糸(しょうけんし)と呼ばれる最高級品質の絹の糸を使いますから、何年たっても美しい。色づかいや結び方、編み方は、アート感覚。飾られる空間を見てデザインを決めていきます」

活躍の場は、祇園祭をはじめ、岐阜県の高山祭など全国の祭りでも。

「愛媛県の祭りで使われる〝太鼓台(たいこだい)〟という山車(だし)につける房は、長さ95㎝もあるんです」と岡本さん。相撲の行司の中にも、岡本さんの房がついた軍配を使っている人がいるそうです。

さんけい

江戸東京博物館に展示されている「両国橋西詰」の模型(1/30)

同社の展示室には、昭和30年代の京町家を1/20のサイズで復元した模型が。「瓦も1枚1枚作っています」と勝見文子さん

博物館などで見かける、昔の建物や街並みを再現した模型。こういった〝古建築模型〟を数多く手掛けてきたのが右京区にある「さんけい」です。

これまでに作った古建築模型は500個以上。ほとんどすべての都道府県の施設に納入実績があるのだそう。京都市生涯学習総合センターに展示されている「平安京復元模型」(1/1000)も同社が製作したものなんですよ。

「創業は昭和38年。当時は大規模なビルなどを建設する際の模型を主に作っていました。その後、全国に博物館ができ始め、古建築模型を作るように。ほとんどが現存しないものですから図面がありません。博物館などに展示するときは、専門家の監修のもと、建物の様式や模型内に配置する人の衣服や器などの小物まで再現します」と代表取締役の勝見文子さん。

現在、古建築模型の職人は5人。木材を選び、角材を作るところから行います。

「実際に建てるのと同じように、基礎を作り、柱を立てることも。実物に1㎝角の穴が開いている場合、1/10の模型なら1㎜角の穴を開けなくてはなりません。ミリ単位の作業をするために、カンナやノミなどの道具も自分たちで作って、細かな作業を積み重ねます」と同社取締役・松並竜也さん。「大変な作業ですが、たくさんの人に見てもらえるのはうれしいことです」

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