“高齢者を見守る”ってどういうこと?

生活サポート/高齢者が日々の暮らしで困っていることとは? その声を聞き、手助けをしている人たちがいます。

近所のごみ出しも〝ついでに〟協力/向日市社会福祉協議会 ご近所福祉

「お子さんが帰省されてたんですか」「そうなんです。昨日戻っていきました」と話す石田さん(右)と福祉委員(左)。活動をきっかけに、会話も生まれています

「この前、子どもたちが来て掃除をしてくれたから、今日はいつもより多めです」。そう言って石田章さんは、近所に住む福祉委員にごみを手渡します。

向日市社会福祉協議会や関係団体が協力して取り組んでいる「ご近所福祉」。ボランティアが福祉委員として、ごみ出しに困っている人をサポートします。石田さんは西向日地区社会福祉協議会に近所の福祉委員を紹介してもらいました。こうした依頼は、地域包括支援センターやケアマネジャーを通じて寄せられるのだとか。

「徒歩3分ほどのごみ捨て場に行くのもひと苦労。来てもらえるのはありがたいですね」と、石田さん。ごみ出しサポートをお願いしたのは、足腰が弱くなってきたからだといいます。

福祉委員は「自分のごみを出すついでなので、気負わず活動しています。直接は頼みづらい、という人が多いと思うので、活動をきっかけに助け合いが進んでいけば」と話します。

ある家にごみを受け取りに行くと、隣の家の人が「次からは私がやるわ」と申し出てくれたこともあったそう。ごみ出しのサポートが自然なご近所付き合いにつながるケースもあるようです。

買い物のちょっとした困りごとを手助けします/左京区 高齢者にやさしい店

左京区と同区地域ケア連絡協議会が連携して取り組んでいるのが「高齢者にやさしい店」事業です。店のスタッフが「認知症あんしんサポーター養成講座」を受講し、「高齢者にやさしい店」への登録を申請。200店以上が登録されています。

目印は入り口付近に掲示してあるステッカー。「袋詰めの手伝いをする」「カウンターへの商品の上げ下ろしを手伝う」など、店ごとに可能な手助けをしています。

「同じような商品が並ぶので、高齢者の方にもわかりやすいようそれぞれの棚に表示をつけています」と話す四方さん

「高齢者にやさしい店」の一つ、「いわくらゆう薬局」の四方勝教さんは、「第一に心掛けているのは大きな声で、ゆっくり、はっきり話すこと。荷物が多い人に声を掛け、タクシーを手配したりもしますね。棚はわかりやすいように配置し、文字も大きく表示しています」

手押し車が通りやすいよう、通路は広めに確保。耳が不自由な人への筆談の案内も掲示されていました。

「徘徊模擬訓練に参加したりと、登録店舗同士が連携した取り組みも行っています」。こうした店が増えれば、高齢者も買い物に出かけやすくなりそうです。

認知症支援/誰でもなる可能性のある認知症。どのような症状なのか理解すれば、支援にもつながりそう。

悩みを共有する、仲間づくりの場/宇治市 れもんカフェ

認知症の人やその家族、地域の人が集う〝認知症カフェ”。各地域で開催されている中、宇治市では「れもんカフェ」として月に2回ほど開かれています。参加は同市民が対象で、費用は300円。予約は不要です。

お菓子と飲み物をいただきながら交流タイムを過ごします

「認知症は誰にでも起こりうる症状」と話すのは、れもんカフェを運営する一般財団法人宇治福祉サービス公社・川北雄一郎さん。「認知症にネガティブなイメージを持つ人が多いのが現状です。カフェに参加すれば、認知症の人もそうでない人も、変わりないとわかると思いますよ」

まずは同市内の病院の医師・森俊夫さんによる認知症の勉強会。「家族に迷惑をかけることを気に病む声をよく聞きます。参加者や専門スタッフに悩みを話してみましょう」と呼びかけていました。

ミニコンサートの後は交流タイム。「家はどの辺り?」「すぐ近くなので、歩いてきました。やっぱり体を動かさないと」と、仲間づくりの場になっているよう。

認知症の人とどう接すればいいのか、といった相談にも対応しているとのこと。問い合わせは宇治福祉サービス公社=TEL:0774(28)3686=へ。

受信したら、身近なところに目を向けて/左京区 高齢者にやさしい店

捜索願を出した家族や介護者の希望で、行方不明者の情報が配信されます

認知症の人が行方不明になった場合、捜索には大勢の協力が必要です。長岡京市が「おでかけあんしん見守り事業」の一環として3月から実施しているのが「長岡京市迷い人情報メール」。行方不明者の身長、髪形、服装などの情報が登録者にメールで送られます。

以前から活用している駅の張り紙は目に留まりにくいことが課題だそう。確実に情報を届けるために考えられたのが、このメールシステムです。

メールを受け取ったら、家の敷地内に行方不明者が迷い込んでいないかを確認、外出時に特徴が当てはまる人がいないか目を配ります。行方不明者が発見されると「終結メール」を配信。見つかったとわかって安心した、という声も届いているようです。

メールをきっかけに、近所の人と高齢者のことを話題にしたり、何か力になれないか考えてほしいとのこと。問い合わせは長岡京市健康福祉部高齢介護課高齢福祉係=TEL:075(955)9713=へ。

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