中庭を囲むように住空間が広がる井戸邸。建て替えを検討し始めたころ、雑誌で見かけた家に妻のみどりさんが一目ぼれ。その家をデザインした建築事務所に設計を依頼し、2012年に完成しました。
みどりさんが中心になって、細かな要望を出すことから家づくりはスタート。設計士から提案されたデザインに、夫婦がそろって変更を希望した点が、2階のリビングから子ども部屋や寝室がある3階への階段の位置。当初は廊下に設けられていましたが、リビング内に変えてもらいました。
「家族が自然に集まるリビングにしたかったから」とみどりさん。夫の信夫さんは「子どもが成長して親離れをしても、わざわざリビングを通ることになる。いつでも話ができる環境にしていたい」と10歳の愛子さんと4歳の万悠香(まゆか)ちゃんが大きくなった将来をイメージしてのことだったそう。
取材時、話を聞いた場所はそのリビング。ここは、「日差しが入る明るい家に」というみどりさんからの要望を受け、設計士が“中庭”の設置を提案したことで生まれた空間。庭に面した窓から光が室内にあふれます。
また、信夫さんが希望したのはビルトインガレージ。雨の日もぬれずに家へ入ることができて便利なのだそう。
家が出来上がるまでを振り返ると、「夫と意見が違ったのは、ドアのタイプくらい」(みどりさん)、「妻がいろいろと考えてくれたので、どうしてもゆずれないことはなかったですよ」(信夫さん)。細かなことは、主にみどりさんが要望したにせよ、階段の例でも分かるように、夫婦に共通しているのは子どもとの暮らしを大切にしたいという思い。ブランコなど遊具を設置したリビング横のデッキ、二重扉にして音漏れに配慮したピアノ室。いずれも夫婦の願いがカタチになった空間です。
家に対して重視するポイントはさまざま。男女でこだわる点も違うかも? そこで、家を建てたり、リフォームをする際のそれぞれのこだわりについて、読者アンケートを実施。その結果見えてきたのは━。
男女ともに、もっとも気になっているのは同じ項目。1位は「収納」でした。
「今の家は物が氾濫しているので」(koh・52歳)という男性の意見や、「隠れた収納を多くし、見えるところはスッキリさせたい」(カーリーママ・42歳)という女性の意見も。「納戸とウオークインクロゼットが欲しい」(ともゆうママ・43歳)、「台所で使う道具がたくさんあるので収納の多いキッチンであることが大切」(よしふみん・40歳)など、この場所に、これをしまう収納をと具体的なイメージを持っているのは
男性より女性に多かった意見は、家事に関すること。「一番は掃除のしやすさ。凝ったデザインや手入れのしにくい素材は避けてシンプルに」(やーこ・40歳)、「洗濯機置き場の横に物干し場所を」(マネー・50歳)、「キッチンを広く。食器洗い機のスペースが欲しい」(めい・27歳)と、実際に作業をして不便を感じているからか、こちらも要望が具体的です。
反対に男性のほうがより気にしている結果になったのが「心のゆとりが得られる空間づくり」(ナナ・62歳)、「家族だんらんのスペースを充実させる」(きずな・35歳)といった、「くつろぎ・リラックス」を求める声でした。