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豊かな想像力は“宝箱”

「こう言ったらどう思われるかな」「こんなことをしたら、どうなるかな」。そんなふうに会話や行動の先を想像することってありますよね。そうすることで人間関係がスムーズになったり、段取り上手になったり。あなたの中にある〝宝箱〟を開けて、想像力を豊かにしませんか。

コミュニケーションのズレを想像力が軌道修正

教えてくれた人

京都大学
脳機能総合研究センター
教授 福山秀直さん
人間の脳機能の解明と、認知症など脳に起こるさまざまな疾患の病態生理を研究
同志社大学
心理臨床センター
教授 武藤崇さん
専門は臨床心理学。成人のうつ病や摂食障害のカウンセリング、発達障害の子どものトレーニングなどにも対応

想像力が働いているとき、脳はどのような状態になっているのでしょう。

「実は、想像力が脳の中でどの神経基盤に基づいて働くのか、まだあまり分かっていません。ただ、想像力は人間特有の機能といわれています。高齢になるにつれてその力は低下するようですが、環境によって異なるので一概にはいえません」と、京都大学脳機能総合研究センター教授の福山秀直さん。

一方、心はというと─。

同志社大学心理臨床センター教授の武藤崇さんによると、「コミュニケーションにおいて想像力を発揮するとき、相手の人柄やこれまでのやりとりといった情報を検索し、適した対応をしようとする心理が働きます。コミュニケーションは“通じていない状態”が普通ですが、相手の反応を見ながら想像力でズレを軌道修正していき、うまく成り立っていくのです」。

そのため、相手の情報が多いほど、想像力が発揮されやすいといえるのだとか。

「これまでのやりとりを覚えている相手というのは、興味のある人、共感できる人ということ。対して興味のない相手の情報は、覚える気にならないので情報が蓄積されない。そういった人とのやりとりでは、想像力があまり働かずズレが修正されないので、コミュニケーションがうまくとれないことになります」

初対面でのコミュニケーションも、相手の情報が不足しているという点では同じなのだそう。

目的があるときは段取りを重視して

想像力の鍛え方
旅行に行く
コミュニケーションの取り方が違う状況を体験
通勤路や散歩のコースを変える
いつもと違う環境で周囲を観察し経験を蓄積
小説を読む
話の内容や登場人物を通して、普段とは違う世界や人のタイプを認識
鏡の中の自分、ペットなどに
向かって語りかける
自分のことを客観的に観察
日記をつけて読み返す
当時と現在における自分の違いを自覚

相手の情報と同様に大切なのが、これまで培ってきた知識や経験です。

「初対面の相手でも、似たような人のタイプや状況を参考にすれば、『こういうときはこうなるかな』と想像し、相手の意図を探ることができます」(武藤さん)

仕事や地域活動など目的がはっきりしているときには、情報の検索に加えて“段取り”も大切な要素に。リビング読者に募集した「想像力を働かせた成功エピソード」でも、「仕事をするとき、『これをしておいたら後で楽になる』ということを考えて優先順位をつけています」(MHB48・45歳)という声が聞かれました。

「目的やゴール地点から逆算して段取りを考えたり、それぞれの役割を見極めたりといったことに想像力が発揮されると、スムーズに事が運びます」

春、新しい環境に身を置く人も多いかもしれません。その準備としても、想像力は鍛えておきたいものですね。

「まずは自分を第三者的に見ることが役に立ちます。人からどのように見えているかという視点を持つこと。例えば、日ごろから日記をつけ、たまに読み返してみたり、鏡の中の自分に語りかけてみるのもいいですね」

他にも、右上の表のような方法で、想像力を鍛えられるということなので試してみては。

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