ホーム > > 特集:社会・生活 > 知っておきたい、この春改正の介護保険制度のポイント

知っておきたい、この春改正の介護保険制度のポイント

この春から介護保険制度が大きく変わります。昨年6月、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」の成立に伴い、介護保険法も改正。4月から順次、改正した内容が施行されていきます。2025年には65歳以上の高齢者が3657万人(人口の30.3%)になるとの予測もある今。介護がまだ身近でないという人も知っておきたい3つのポイントについて紹介します。

point1

「予防給付」の「訪問介護」「通所介護」が
市町村の事業へ

要支援1~2・要介護1~5と7つの区分に分けられる要介護認定。このうち、生活の一部に支援が必要な状態とされる要支援1~2の介護認定を受けた人が利用しているサービス「予防給付」が見直されます。これは状態が悪化して要介護状態になることを防ぐためのもので、「訪問介護」「通所介護」「通所リハビリテーション」「福祉用具貸与」などがあります。

現在は全国一律の基準でサービスが提供されていますが、改正後は、「訪問介護」と「通所介護」については市町村の地域支援事業となり、各自治体が内容や利用料金などを決めることになります。

「訪問介護」はホームヘルプサービス、「通所介護」はデイサービスとも呼ばれています。介護を経験していない人でも耳にしたことがあるのでは?

「日常生活の支援をするホームヘルプサービスや生活機能訓練などを行うデイサービスは、要支援1~2の認定を受けている多くの人が利用しています。これらのサービスが市町村の事業になりますが、4月からすぐに移行されるのではありません。準備期間が考慮され、平成29年4月までに各市町村の判断で始められます。保険料を支払うことは変わりませんが、これまで通りのサービスが受けられなくなる可能性があります。今後は自治体に介護の実態を知らせるなど、働きかけることが重要となります」と、介護保険制度に詳しい京都女子大学家政学部生活福祉学科・教授の石田一紀さん。

この二つが市町村の事業になることで、よりそれぞれの地域の実情を反映した内容にできる半面、自治体によってサービスに差がでることも懸念されているそう。

「少しずつ具体化してきていますが、全国の約60%の自治体が、まだ見通しが持てないとしている調査結果もあり、細かな内容は見えてきていません」

既存の介護事業所によるこれまでのサービスに加えて、NPOや民間企業といった地域の多様な力を活用して、高齢者を支援する策も打ち出されているとか。

「地域のボランティアを活用したり、一定の研修を受けた人にヘルパーの代行をしてもらうなど、限界があるものの、さまざまな形で人材を確保し、地域の介護を地域で支えていこうという動きもあります」

このページのトップへ