11月5日に行った「京美人プロジェクトおさらい会」では、ゲストとして歌人・林和清さんと着物ライフプロデューサー・柾木良子さんが登場。ふたりとも京都生まれ京都育ちの京都人。それぞれの専門分野で〝京美人〟に役立つ話をしてもらいました。
読者から寄せられた「京美人のイメージ」で、最も多かった意見が「着物が似合うこと」(4月5日号京美人プロジェクト①より)でした。柾木良子さんは、「着物をよく着るようになって15年。動き方や所作が変わってきました」。おさらい会の参加者の中には、「せっかくの機会なので」と着物姿で来場してくれた人もいて、柾木さんの一挙手一投足に視線が集まりました。
「着物はもちろん、洋服でも、(1面で抜粋したような3ステップで)りんとした上半身の姿勢を保つことが大事。寒くなるにつれて、たくさん着込んだり、体が縮こまったりしてしまうからこそ、シャンとした姿勢を心がけてほしいですね」と柾木さん。
お正月など、着物を着る機会も多いですね。そこで着物を着ているときの座り方をレッスン。着物のときは両手でひざの裏側を織り込んでから着席すると、着物も、座り姿も美しく整います。洋服では、ひざの内側をなるべくくっつけて、足の向きをそろえると、足先が離れていても格好よく見えます。
「落とした物を拾うときには、立ったまま上半身を倒すのは、NGですよ。ひざを折り、腰を落として拾い上げるのが女性は美しいです。指先にも気を配れれば、ぐっと上品な印象に」
これからの季節に役立つ「ショールのかけ方・外し方」(下参照)には会場から「ほぉ」というため息も。柾木さんからは「なにごとも続けることが大切です」と。
林和清さんには、「歴史にみる京美人」と題して話してもらいました。平安時代前期(9世紀ごろ)の女流歌人・小野小町を取り上げて、美人ゆえの恋物語と生涯についての話。「日本で絶世の美女といえば小野小町と相場が決まっています」と林さん。
「美しい小町に思いを寄せる男性が続出しても、道ならぬ恋をしていた小町。“女性として花のような時期はあっという間に過ぎる〟と詠んだ和歌が『花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』なのです」
宮中を退いてからも小町の人気は衰えませんでした。三河国に赴任する文屋康秀が小町に求婚したところ、小町は「わびぬれば 身をうき草の根を絶えて 誘ふ水あらば いなむとぞ思ふ(こんなに落ちぶれた私ですから、根なし草のように、誘いの水さえあればどこにでも流れてお供しようと思います)」と返答。林さんの解説は、「これは一見、求婚を受け入れているように見えますが、『あなた以外の誰のところにでも行きます』という意味が込められている歌。つまり、OKと言いながらも実は断っているのです。やわらかい言い方で、しかしビシッと断っている、まさに京美人の気質」。なるほど。
そんな和歌の世界に精通する林さんが考える現代の京美人は「フットワーク軽く、知識が豊富な京都のエキスパートであってほしい」。いろんな場所で、いろんな発見をして人生を楽しむ、そんな京美人、すてきですね。