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日々の暮らしを〝ごきげん〟に

「ごきげんいかが?」「ごきげんよう」―。そんなあいさつが交わされるくらい、「ごきげん」は日々の暮らしとかかわりが深いもの。今回は、ごきげんのメカニズムやパワーについて紹介。みなさんも、これを読んで、〝ごきげんさん〟に!

教えてくれたのは

米井嘉一さん
同志社大学大学院生命医科学研究科教授、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス

内田由紀子さん
京都大学こころの未来研究センター准教授。幸福感、他者理解、対人関係について研究

阿部修士さん
京都大学こころの未来研究センター准教授。主にヒトの正直さ、不正直さを生み出す脳のメカニズムの解明に取り組んでいます

印象や表情がポイントに

そもそも、「ごきげん」とは、どんな状態やどういった人のことを指しているのでしょうか? リビング読者が抱くイメージや人物像についてアンケートを実施。もっとも多く寄せられたのが、「陽気でほんわかしたイメージ」(ピヨママ・39歳)、「ユーモアがあり、いつも明るい人」(DR・48歳)、「悩みがないのかな、と思わせるようなほがらかな人」(TM・42歳)といった〝印象〟に対する回答でした。

次に多かったのが、「ニコニコしていて、笑顔が絶えない人」(さとゆうママ・40歳)、「笑っている人」(FM・43歳)、「ブスッとしていない」(KS・45歳)という〝表情〟に関する回答。続いて、「楽しそう」「前向き」「楽天的」といった声も聞かれました。

体にも心にもよい影響あり

医学や心理学の分野からみると、「ごきげん」には、さまざまな効用があるようです。

同志社大学大学院生命医科学研究科教授・米井嘉一さんは、抗加齢医学を研究。

「抗加齢医学は、健康増進のための予防医学です。ごきげんというのは、社会的、肉体的、精神的に満足感を感じていて、不安がない状態。人の心と体は、分けては考えられません。最近の研究では、きげんがよく、幸せを感じると長生きするといわれています」

さらに、「若いころに比べて、年を取ると太りやすくなりますよね。代謝機能が低下する原因のひとつに、加齢に伴う褐色脂肪細胞の減少があげられます。ところが、ごきげんで幸せな環境で飼育したマウスは褐色脂肪細胞が増えたという実験結果から、ごきげんはホルモン分泌に影響する可能性が考えられます」。

情報や人が集まりやすいというメリットも

読者のアンケートの中に、「ごきげんな状態は続かない」(みーちゃん・33歳)という回答も。京都大学こころの未来研究センター准教授・内田由紀子さんによると、「社会心理学では、ごきげんは一時的な気分や感情ととらえています」とのこと。 「でも、ごきげんな状態の方がメリットは多いですね。気分がいいと、物事に対する視野が広がったり新たなことに挑戦するといった心理になりやすい。また、ごきげんな人の周りには情報や人が集まりやすいなど、社会的なメリットも期待できます」 では、人の脳の中では、どんなことが起っているのでしょうか?

「ごきげんなとき、脳の中ではドーパミンという物質が放出され、快感を得ています。ごきげんな状態とは、脳にとっての〝報酬〟。ごきげんだとドーパミンが出ると覚えた脳は、ごきげんな状態を想像しただけでもドーパミンが出るようになるんですよ」と同センター准教授・阿部修士さん。

ごきげんは、奥が深い! 2面では、ごきげんになるための話題を紹介します。

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