「ごきげん」が体にも心にもいいことは1面の通りですが、「いつもごきげん」というわけにはなかなかいきませんね。とはいえ、その状態をつくることは可能。不機嫌をごきげんに変えるスイッチを持っておきましょう。まずは、読者の〝ごきげんスイッチ〟をご紹介!
「鴨川のほとりを散歩すれば、どんなイヤなことがあってもごきげんになれます」と明るく話す柴田恵子さん(65歳)。生まれも育ちも京都という柴田さんですが、鴨川が〝ごきげんになれるスポット〟だと気づいたのは6年ほど前のことなのだとか。
「健康のために1日7000歩以上歩くのを目標にしていましたが、家の近所の散歩では物足りない。人に勧められて鴨川に来たら、景色もよくて、たまたま頭上を旋回するユリカモメが私を出迎えてくれたような気になり、みるみると気分がよくなるのを実感しました(笑)。ここは、子どものころ母に連れられて遊びに来た思い出の場所。そのときのわくわくした感じを思い出しているのかもしれません」
散歩中は、悠然と飛ぶトンビの姿を眺めたり、地域のネコたちと交流することも楽しみのひとつ。
「60歳を過ぎたあたりから、もっと楽しく生きたいと思うようになって。かわいらしい小物やおいしいコーヒーなど、身の回りのいろんなところに、私をごきげんにしてくれるスイッチがあります」
1面に登場した内田さんによると、「不機嫌な事柄は、知らず知らずのうちに頭の中や心の奥に残っています。イヤなことを引きずらないためには、いったんイヤなことを切り離す行動をとること。イヤな思いをした場所から離れるだけでも変わってきます。ちなみに、私は論文に行き詰まるとおいしいものを食べに行っちゃいます(笑)。買い物も好きですね」。
ただし、「アルコールやたばこなど、中毒性のあるものは要注意。脳に直接働きかける成分を含んでいるため刺激が強く、ごきげんな状態では済まなくなる心配があります」(同じく1面に登場した阿部さん)。
読者アンケートでは、好きなことをして不機嫌な気持ちをごきげんな状態に切り替えるという人が半数以上を占めました。「甘いものを食べる」「DVDやテレビを見る」などがその例。ひとつに限らず、複数のスイッチを併用している人も多いようです。
「自分の心に何をしたいのか聞いてみて、そのとき一番したい行動をとる」(ちょこっとママサン・51歳)と、スイッチの内容が変わるという人も。また、「大きく深呼吸をする」「これからいいことがある、と明るい未来を想像する」といった回答も寄せられました。
そんな読者のごきげんスイッチを、内田さんの解説付きで紹介。私もそう!というスイッチ、やってみたいスイッチなど、参考にしてみてくださいね。
ところでみなさんは、身近にいる人のごきげんに影響されたことはありませんか?
読者アンケートでは、実に7割以上の人が「経験あり」と回答。「職場でも、家でも、ごきげんな人の周りは和やかな雰囲気になり、みんなが笑顔になります」(ゆかりんご・42歳)、「私がプンプン怒っていても、7歳の陽気な息子に優しくごきげんをとられると、笑顔になってしまう」(ピヨママ・39歳)。反対に、「会社の上司がきげんの悪いときがあり、自分が何かやらかしたかと思ってヒヤヒヤしていた。後から聞いたら夫婦げんかが原因だった」(みーたん・57歳)というように、相手の〝不機嫌さ〟が自分の気持ちに影響を与えたという人もいました。
1面の米井さんによると、「ごきげんは伝染することが科学的に立証されています」とのこと。「人は社会の中で互いに助け合いながら生活を送っています。ごきげんは人によって感じ方が違いますが、家族や友人、隣人など、地理的な距離が近いほど、相手のごきげんの影響を受けやすい。相手の表情がわかるぐらい近い距離というのがポイントです。感情は、顔の表情筋を使って表現されます。その表情筋の動きを視覚でキャッチし、本能的にごきげんを察知しているといえます」
読者の中でも、「家族に接するときは、ごきげんな状態を心掛けています。そうすると、子どもが不機嫌でも、私が笑顔で話すと、いろいろと話してくれる」(さとゆうママ・40歳)、「ごきげんでいると、ラッキーなことが続く」(SK・65歳)と、ごきげんパワーを使っている人もいましたよ。
では実際、読者がごきげんパワーをもらっているという例を紹介しましょう。
杉之下美智世さん(53歳)の、「牛乳配達の集金にくる女性の笑顔に元気をもらっています」と書かれたアンケートをもとに、笑顔の主・小林雅子さん(51歳)に会ってきました。
西陣で100年続く実家の牛乳販売店「たにじりや」で接客や経理、集金などを担当している小林さん。8人兄妹の5番目としていつも明るい母親の背中を見て育ったそうです。
「その母親の影響もあってか、今でも仲のよい兄妹で、よくしゃべります。私も話をするのが大好き。相手に合わせ、目を見ながら話すように心がけています」
その明るい笑顔は、持って生まれた才能なのでしょうか?
「これまでの人生が楽しいことばかりだったわけではないんですよ。ひとつひとつの苦労を勉強だと思っていて、今、冗談を言える状況が本当にありがたい。お客さんにも、家族にも感謝の気持ちを言葉にして伝えると笑顔で応えてくれるので、私も笑顔になれるんです」