読者アンケートでは、めまいに関する経験談や疑問を募集。めまいを経験した人は多いものの、病院へは行かず、不安を抱えている人もちらほら。みなさんの質問に田浦さんに答えてもらいました。
教えてくれたのは…
京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科の助教・田浦晶子さん。京都大学医学部附属病院めまい外来で診察をしています。「予防のために普段からできることは、規則正しい生活をして、しっかり睡眠をとること。有酸素運動も取り入れながら、できるだけストレスのたまらない生活を心掛けて」
「こんなめまいは病気ではないので放っておいていいですよ」と断言できる医者は少ないと思います。体のどこかに不調が起こっているというサインのひとつがめまいです。いわゆる〝立ちくらみ〟である「起立性低血圧症」の場合も、日常的に続いたり、症状が重ければ、薬で血圧をコントロールすることもあります。
原因の特定が難しい場合もありますが、脳や心臓などの病気が潜んでいることも考えられます。自己判断はしないようにしてください。
めまいが起こっている最中に病院へ行けば、眼球の動きを診察でき、原因が何か診断しやすいので、そう言われたのかもしれません。ですが、なかなかめまいが起こっているときに自力で行くのは難しいですね。できれば往診をしてもらってください。
往診がしてもらえない場合も、車の運転をしたり、一人で病院へ行くのは危険ですので、誰かに付き添ってもらったほうがいいでしょう。
貧血によって脳の血流が減少し、めまいがすることがあります。その場合は、貧血の原因が何かを調べた方がいいですね。
ちなみに、耳の病気が原因の「末梢性めまい」、脳の病気が原因の「中枢性めまい」など以外にも、めまいの原因はさまざま。肩こりで筋肉の緊張が強くなった結果、脳の血流が悪くなってめまいがする「頸性(けいせい)めまい」や、光や音の刺激に過敏になって片頭痛と一緒に起こる「片頭痛関連めまい」、自律神経のアンバランスによって発症するめまい、大きな音を聞いたことによるめまいなど、多岐にわたります。
めまいが起こったとき、耳鼻科に行くか、神経内科に行くべきか。これは症状にもより、どちらがよいとは言い切れません。頻度が多いのは末梢性めまいですが、命にかかわるのは中枢性めまいです。
めまいのほかにマヒなどの症状があれば、脳の病気の疑いがあるので、まずは神経内科で、CTやMRIをとることになると思います。それらがなく、耳鳴りや難聴などの蝸牛症状があれば、耳鼻科を受診する人も多いです。できれば、耳鼻科と神経内科の両方で、きちんと検査を受けてください。
「良性発作性頭位めまい症」に関しては、先に紹介した通り60~70代の女性に多いといわれています。これは加齢により、カルシウムの代謝異常が起き、耳石が外れやすくなってしまうからだと考えられています。「メニエール病」は30~40代の女性に多いのですが、なぜなのかは分かっていません。
季節との関連性については、どのめまいもないとされていますが、「メニエール病」については、気圧の変化が影響しているという説もあります。