家計を考えるうえで、どうしても外せないのが、食費、水光熱費、そして保険や住宅ローンなどの固定費。少しずつムダをなくせば、1面で紹介した月約5500円の節約に近づけるかもしれません。各分野の専門家に聞きました。
特売の日に野菜を賢くまとめ買い、そんなときのために、京都料理学校副校長の小川洸さんに野菜の保存方法を教えてもらいました。
「野菜は冷凍すると食感が落ちるので、サラダなど生食には向きません。スープや炒めものに使いましょう」
ホウレンソウやキャベツなどの葉もの野菜は、よく洗って水気を切り、使う大きさにカットして冷凍庫へ(※)。アクが気になる場合はゆでてから冷凍してもいいそう。また、シメジやシイタケなどのキノコ類も汚れをふき取り、イシヅキを除き、カットして冷凍庫へ。そのほか、トマトも冷凍可能。ザク切りにして冷凍しておけば、トマトソースを作るときに利用できます。
おいしく冷凍しておくには入れ方にコツがあると小川さん。「できるだけ短い時間で凍らせたほうがよいので、袋に平らにして野菜を入れてください」
ただし、冷凍はできるものの、不向きなものも。「ニンジンやダイコンなどは、軟らかくなってしまいます。それでも洗って薄く切って冷凍すれば、スープや炒め物なら使えると思います」(小川さん)
※小川さんに冷凍保存したホウレンソウとキャベツを使ったメニューも教えてもらいました
▲フィルターを自動で掃除してくれるタイプの省エネ多機能エアコン(Panasonic)。主に8畳用で、一年間の電気代の目安は1万7600円。人がいるかどうかを感知して風量を調節してくれる機能も。16万8000円
◀HITACHI フレンチ6ドア冷蔵庫(475L)。24万8000円。年間目安電気料金は1年間で3960円。「〝真空チルド〟や〝うるおい野菜室〟など、食材をおいしく保存する機能もあり、買った食材をムダにしないという節約にもなりますね」と大石さん
Joshin京都1ばん館の店長・大石恒裕さんによると、10年前と今とでは、多くの製品で消費する電気や水の量が削減されているそう。省エネ性能の良い製品に替えることで、月々のランニングコストを大きく減らせるかもしれません。
「例えば、10年前に発売されていた8畳用のエアコンなら、1年間の電気代は2万~3万5600円かかりますが、最近の商品だと1万7000円程度になるものも。フィルターをエアコンが自動で掃除したり、床や壁の温度をセンサーで測って風の強さを調節したりと、さまざまな機能が充実していて、効率よく冷暖房をしてくれます」(大石さん)
さらに、365日24時間電気を使う冷蔵庫。こちらは10年前までの商品だと年間1万円以上はかかっていた電気代が、今のものは4000円前後(475Lの場合の目安)になっているものも。
「断熱材の性能が向上して保温性がアップし、電気代が以前よりぐっと抑えられています。ドアが半分ずつ開く〝フレンチドア〟タイプなら、開閉したときに外に出ていく冷気の量が、一枚扉のタイプよりも少なくすみますから、ここでも省エネにつながります」と大石さん。
いつか買い替えようと思っている古い家電製品がある場合は、早めに購入して節電するという手もありますね。
1面で紹介した固定費の見直し。ぜひしておきたいのが、「生命保険料」と「住宅ローン」と常住さんは言います。
「生命保険の死亡保障は〝これから先そんなに必要かな〟と考えてみてください。
例えば、住宅ローンを組んだ場合は、返済中に死亡すると、残高を支払ってくれる〝団体信用生命保険〟に入っていると思います。であれば、もしものときにもローンの支払いはないのですから、生命保険の死亡保障額を減らしても残された家族は生活できるかもしれません。あるいはすでにお子さんが独立しているなら、保障額を減らしてもいいケースがあるでしょう。特に掛け捨てタイプや更新型の保険に入っている人は考えてみて。ただし、貯蓄性のある保険は解約すると不利になる場合もあります」
一方、「変動金利の住宅ローンで優遇期間が終わって、金利が上がったり、固定金利の場合でも、ローンを組んだときよりも低い金利のローンに変更できるかもしれません。もし月々の支払いが減額されれば大きいですが、ローンの借り換えには手数料や諸経費がかかります。現在の状況をよく調べてよく分析してください」と常住さん。
この機会に、それぞれのプロに相談してみるのもいいですね。
消費税が8%になることで、ちょっと混乱しそうなのが、値札の表示。2004年に総額表示が義務付けられてから、商品の価格は消費税込みで記載されていました。
しかし、昨年の10月1日以降、2017年3月31日までの期間限定で特例が設けられ、「誤認防止措置(※)」を講じることで、税抜き価格での表示ができることになりました(右表)。
そのほか、値札や棚札には「●●●円」と税抜き価格だけが書かれている場合も。この場合は、必ず店内の目につきやすい場所に「当店の価格はすべて税抜表示です」と表示することになっています。
※「誤認防止措置」…
消費者が商品を選ぶときに、その価格が税抜きか、税込みかはっきりと分かるようにすること