塩は「取り過ぎると、体によくない」という話は聞くけれど、体にとっては必要な物質だし…。では、どのくらいが適量で、どう工夫したらいいの? 最近注目されている、食塩少なめの〝かるしお〟料理について、生活に取り入れやすい工夫やレシピを専門家に聞きました。
「多量の食塩が体内に入って血液中の塩分濃度が上がると、体は通常の濃度に戻そうとして、血管内に水分を送り込みます。血液の量が増えれば、心臓はより強い力で血液を送り出すようになるので、血圧が上がってしまいます。この状態が続くと血管や心臓に負担がかかって、動脈硬化を引き起こすなど、病気の原因になるんです」と教えてくれたのは、洛和会音羽記念病院の栄養科主席係長・長谷川由起さん。
「実は、日本人は国際的にみると塩の摂取量が比較的多い。世界保健機関(WHO)は、昨年、成人1日5g未満にするべきだという指針を出していますが、平成24年の厚生労働省『国民健康・栄養調査』によると、日本人の食塩摂取量の平均値は男性11.3g、女性9.6g。そこで厚生労働省は、男性9g未満、女性7.5g未満を、当面の望ましい摂取量の目標値としています(※1)」
すでに、私たちの食生活では、塩を取り過ぎている可能性が高いということですね。
「塩が多く含まれているのは、しょうゆやみそといった調味料、漬物、ハムや干物のような肉・魚の加工品、インスタント食品などです。一日の食事を振り返ってこれらだけでもカウントしてみると、おおよその食塩量が見えてきますよ」と長谷川さん。
上のイラストは、ある一日の食事例。全て合わせると食塩相当量14.9g! なるほど、目標値を大きく上回っています。
家で料理をする際、きちんと食塩量をコントロールするなら、調味料を量るのがベスト。また、食品の多くはパッケージに食塩量に関する記載があるので、確認してみましょう(※2)。
ただ、気にし過ぎるあまり、物足りない味になって、食事がつまらないものになるのもよくないそう。
「おかずのうち1品を、酢の物のような食塩の少ない料理にして、メインのおかずには塩やしょうゆなどの調味料でしっかり味を付けるなど、メリハリをつけて満足感を高める工夫もしてみてください」とのこと。
長谷川さんに教えてもらった、かるしお料理のコツを右表にまとめました。
※1…健康な人の場合。すでに高血圧や腎臓病にかかっている人は1日6g未満
※2…食塩量のほか、Na(ナトリウム)量で記載がされている場合もあり。その場合は、Na(g)×2.54=食塩量(g)です