日ごろあまり考える機会がない相続や贈与のこと。でも、課税の税率が変わったり、利用できる特例が増えたりと、さまざまな税制改革が行われているんですよ。節約できる税金があるのであれば、知っておいて損はありませんね。
新経営サービス
清水税理士法人
税理士 清水義子さん
「家族で話し合って、金額の大小にかかわらず、自分の家にどんな資産があるのか一度“財産の棚卸”をしてみるといいですね。相続税がかかりそうという場合は、贈与を検討して、節税してみては。年間1人110万円までは贈与税はかかりません」
「相続税というのは、現金や不動産、株などの全財産から基礎控除を差し引いた金額に課される税金。逆に言えば基礎控除の金額までは相続税はかからないのですが、今年、税制改正が行われて、基礎控除が引き下げられました。改正前は、『5000万円+(1000万円×法定相続人の数)』でしたが、『3000万円+(600万円×法定相続人の数)』になり、基礎控除額は40%減額に。現在、相続税がかかるのは、相続件数全体の約4%程度ですが、この改正で7%ほどにあがるのではないかといわれています。これは平成27年1月1日以降の相続から適用されます」と清水さん。
以前より少額の相続でも課税の対象になりますが、利用しやすくなる特例もあるのだそう。
「居住用宅地などについて、配偶者や同居の子が相続した場合、その宅地の評価額を減額する『小規模宅地などの軽減特例』が見直されて、適用面積が拡大されます。改正前は240㎡までが対象でしたが、改正後は330㎡までに。評価額から80%減額になります」
そのほか、未成年者・障害者控除の引き上げなど、さまざまな改正が行われています。
「ただし、これらの特例には申告が必要なものもありますので気をつけてください」(清水さん)
相続税の基礎控除
夫婦と子ども3人の5人家族で、夫が亡くなった場合
清水さんが教えてくれたのは、「教育資金一括贈与の非課税特例」について。
「子、孫、ひ孫など30歳未満の“直系卑属”には、1500万円までの贈与に対して贈与税が非課税になります。この制度はすでに始まっていて、平成27年12月31日までの拠出が対象です」
この特例のポイントはお金の使い道が「教育目的」に限定されていること。
「学校や塾の学費だけではなく、ピアノやスイミングなどの習い事の費用も500万円までであればOKです。また贈与された人が、30歳になるまで、幼稚園、小・中・高校、大学、さらには大学院や専門学校と、長く利用できるのもうれしいところ。30歳になって使い残しがあれば、そこで贈与税がかかります。
生きているうちに手続きをすることで、自分が亡くなったあとも家族を支えることができるのです。手続きは、専用の口座を作れば、金融機関が税務署に申告してくれます。ただ、取り扱いのない金融機関があったり、高額の管理料や手数料がかかる場合もあるので、よく確認して」(清水さん)
今後気になるお金の話題といえば、やはり「消費税」ですよね。
「消費税法が改正され、2014年に8%、2015年に10%に引き上げられる見込みです。消費税はほとんどの日用品にかかりますから、家計に与える影響は大きいですね」(清水さん)
ですが、消費税アップによる負担を軽減してくれる税改正があるのだとか。
「今年で終了する予定だった住宅ローン控除が4年延長されました。建物によっては利用できますよ」と清水さん。
そのほか、ニュースでよく聞くのは、「円安ドル高」。
「日本は多くのものを輸入しています。そのため、すでにガソリンや小麦など価格が上がったものも。でも、海外の資産で運用する投資信託を買うなど、この状況を利用してみてはどうでしょう」と山副さん。
こちらは、世界情勢によっても刻々と変化するもの。ニュースをよくチェックしておかなければなりませんね。