「同窓会、やりたい!」とは思うものの、何から始めればいいかがわからない…。そんな人のために 、幹事を経験したリビング読者や同窓会幹事代行業者に段取りのコツを聞きました。
読者アンケートによると、幹事経験者の多くが、同窓会の日時・会場・会費を決めた上で案内状を出していました。しかし、何人来るかがわからない中で会場を選ぶのは難しそう…。
「同窓会は、招待した人数の2~3割が来ると考えて会場選びをするといいでしょう」と、同窓会幹事代行サービスを行う「同窓会ネット」(大阪市北区)の伊丹正人さん。
一見少なめの数字ですが、「同窓会はやりたい人が多い一方、いざ企画すると、本人や家族の体調、冠婚葬祭、仕事などが優先され、思ったほど人数が集まらない傾向がある」と言います。
ちなみに、アンケートによると、開催地には、京都駅周辺や四条烏丸、四条河原町など交通の便がいいエリアがよく選ばれています。「同級生のお店でやりました」(E・K)という声も複数見られました。
日時・会場を決定した上で案内状を出す幹事さんが多数。出席者が何人になるかがわからない中での会場選びは悩みドコロです
最後に、 伊丹さんより、もう一つ注意点が。
「会場には、1カ月前には確定人数を知らせましょう。直前の大幅な人数変更で違約金が発生する場合もあります」
同窓会の数カ月前からブログやホームページを立ち上げ、事前連絡に役立てている人も多いよう
同窓会を行う際、最も大変なのは、連絡先がわからない同級生の行方を探すこと。
ちなみに、1面で紹介した北宇治中学(昭和55年卒)同窓会幹事の吉田さんも、この作業に相当な時間と手間をかけたと言います。
「まずはメールで友達づてに案内を送り、それで連絡がまわらなかった102人には、幹事仲間の女性が卒業アルバムを頼りに電話を。半数には連絡がつかなかったため、別の幹事仲間が車を出してくれて、アルバム の住所をもとに家を訪ねました。フェイスブックなどのSNSも使いましたが、メールや電話をした人のほうが出席率が高かったです」
「全員に声をかけたい」と頑張ったそうですが、それでも77人とは連絡がつかなかったと言います。
このように事前連絡の大変さを経験した読者の中には「2度目の幹事は代行業者に頼みました」(S・M)という人もいました。
会場側との打ち合わせ、受付・会費の徴収や精算、司会進行に2次会への誘導―。同窓会当日、幹事はすることがいっぱい! 特に、忙しい中でのお金の管理には気をつけたいですね。
北宇治中学校の同窓会では、会費を事前に口座振り込みに。おつりの準備や合計金額の計算など、当日のひと手間を省きました。事前に出席者の人数確認をするのにも便利そうです。
このほかの幹事の仕事といえば、会の企画や進行。読者アンケートによると、当日の出し物は「出席者による一言スピーチ」などの定番ものが好評でした。凝ったことをしなくても、楽しくおしゃべりできるのが一番みたいです。
20代~80代と幅広い年齢層の同窓会を企画する「同窓会ネット」。「同窓会の楽しみ方は、年齢によって違う」と伊丹さんは言います。
「たとえば、20代・30代の人は、同窓会を異業種交流や婚活の場として楽しんでおられますし、40代・50代の中には『近所の人には言いにくい、育児や親の介護の悩みが相談できた』という人も。60代の人はリタイア後の人間関係構築の場、70代・80代の人は、お互い元気でいるかを確認し合える場として楽しまれています」
どの年代にとっても、交流の復活と人間関係の広がりは同窓会のだいご味。「だからこそ、同窓会は学年単位がおすすめ。幹事さんの苦労も大きいですが、参加した人の感動も大きいですよ」
同窓会で数十年ぶりに再会しても、すぐ昔の感覚に戻れるのを不思議に思ったことはありませんか? これは脳の働きに理由があるとか。
「昔の記憶というのは大脳新皮質に蓄えられているのですが、それがどんなに古いものでも、懐かしい顔や声、名前といった刺激があれば、すぐに思い出せるのです」と小林さん。
そして、こうした刺激を受けながら楽しく話しているときは脳が活発化しているそう。
「昔を懐かしんだり、思い出話に笑ったりしているときは、人間の情緒面をつかさどる大脳辺縁系の動きが活発化します。この状態が心の健康にいいんです」
ちなみに、「古い記憶を刺激によって引き出す」ことや「大脳辺縁系の動きを活発化させる」ことは、認知症の予防や症状悪化を防ぐためにも利用されています。
「『回想法』といって、認知症の人に子ども時代に覚えた歌を歌ってもらったり、思い出話をしたりしながら脳を活性化させるものです。楽しく昔を思い出すことが、脳や心の健康を高めます」