「子どものお手伝い」には親ならではの悩みがつきもの。「子どもが自分で考えて行動するようになるための親子のかかわり方」を実践する親業インストラクターの川西未来子さんに、“お手伝いトラブル”を解決する糸口を教えてもらいました。
たいして難しいことを頼んでいないのに、いつも面倒くさそうだったり、イヤイヤという感じが多く、こちらの気分が悪くなる。気持ちよくお手伝いしてもらうにはどうしたらいい?
ぐどんママ(小3男子)人が行動する理由を考えてみてください。その行動が簡単だから動き、難しいから動かないのではなく、難しくても楽しいことなら動き、自分が本当に困ったら動きます。また、自分の気持ちを分かってくれる人には好感を持ち、助けたいと思うようになります。
突然、「○○して!」と要求するのではなく、「どんなふうに協力してもらえると助かるのか、なぜそうしてほしいのか」を伝えたほうがいいでしょう。そこで反発された場合には、「面倒なことを言われたな、イヤだなって思ったんだね」と子どもの気持ちを受け止めてあげてください。自分の気持ちを分かってくれる人のためなら、お手伝いをしたくなるかもしれません。
お風呂掃除が定番のお手伝いだけど、とにかく雑で取り掛かる時間も遅い
マスクさん(小6男子)マンネリ化しているのでしょうか? 子どものやる気が出てこないみたいですね。
雑で取りかかるのが遅いと、誰がどのように困るのでしょう。それをまず伝えてみてください。
また、例えば「お風呂の浴槽に入ったとき(行動)、ヌルッとしていると雑菌がいるようでリラックスできない(影響)けれど、あなたがいつも奇麗にしてくれているから気持ちいい(感情)。ありがとう」。といったように、自分の行動でどんなふうに人が喜んでくれるのかが分かると、やる気が出て丁寧になるかもしれません。
年相応にできることをと思い、食事の用意や片付け、取り込んだ洗濯物たたみなどをさせている。でも、途中でやめてしまったり、遊んでいてしないことがあるので習慣づけたい
TM(小3女子)毎日少しずつ苦もなくできることの積み重ねが習慣づけにつながります。ということは、子どもが容易にできることややりたいことは何かを観察してから、何ができそうか話し合ってみる必要があるということです。
子どもの手では、なかなか手際よくキレイにできないことも考慮して、少しできたことを褒めてあげてもいいですね。褒めるときには、「えらいね、お姉ちゃんになったね」という評価ではなく、「助かる」「うれしい」など感じたままを伝えてください。
お手伝いの時間が、親子の会話のある楽しいひとときになると、習慣になりやすいですね。
小学校の夏休みのときなど、洗濯物たたみや風呂掃除、食器洗いをしていた。先日、私が体調を崩したときに、率先して家事をしてくれた (ゆさた)
家の前の掃除をさせていたら、近所の人に褒められた。このことがうれしかったらしく、習慣になった (MHB43)
祖父母と買い物に行かせ、荷物持ちなどを手伝わせていた。自分より年上の人のことを理解し、いたわる心が養えたように思う (マツイママ)
小学生のころから手伝わせていたので、今では、声をかけなくてもキッチンに入ってきて、下ごしらえをしてくれる。自分が食べたいものを作れるようにもなりました (F.M)
お手伝いの定番とも言えるのが料理と掃除。
それぞれのプロに、お手伝いに役立つ情報を教えてもらいました。
掃除のノウハウは大人になって生きてくる
読者アンケートからは、「うちの子は掃除が苦手」という声が多く聞かれました。そこで、整理収納清掃コーディネーターの大津たまみさんに、掃除のお手伝いについてアドバイスしてもらいました。
「掃除は奉仕と感謝の気持ちでするもの、片付けは自分で気づくもの。似ているようで、その性質には違いがあります」
掃除を子どものお手伝いにする際のポイントは、下表のとおり。雰囲気づくりのために、掃除をするときに決まった音楽をかけるという方法もあるのだとか。
「家族の一員としてのお手伝いなので、『家族がよく使う場所をきれいにしよう』という意識を持たせてあげることが大切。掃除で培われるノウハウは、大人になって社会に出たときに生きてきますよ」
料理の完成イメージを把握させてからスタート
お手伝いの中でも人気ナンバーワンの料理。さらなる上達を目指して、京都聖母女学院短期大学生活科学科准教授の西彰子さんに、料理の取り組み方について教えてもらいました。
まず気を付けなければいけないのが、衛生と安全。次は、段取りです。「いざ料理のお手伝いをさせるときには、取り掛かる前に作業全体の流れを説明し、完成イメージを把握させます。料理本など写真やイラストで理解させるのもいいですね。作業中に声をかけるときは、次の手順についてのみ具体的に伝えて。抽象的な内容が理解できるのは小学校高学年以上です。『早くして』『ダメ』は禁句ですよ」とのこと。
そして、「保護者の料理をする姿を見ることも、子どもにとっては経験です。たくさん経験を積んでいる子ほど早く上手になりますね」。