一つ屋根の下にいる家族をいつも感じられたり、ともに過ごす時間を大切にしながら暮らせたらすてきですね。間取りや空間を工夫することで、家族の時間を充実させた読者の自宅を訪ねました。新築だけではなく、日曜大工やプチリフォームでも実現できるこだわりもあり。家づくりの参考になりそうです。
山口さんの家は、手前に別の住宅が立ち、公道から細い路地が延びる“旗竿(はたざお)地”。驚くのは芝生の庭の広さ。およそ30坪(99平方メートル)あり、桜やケヤキが大きく枝を広げています。
「以前はこぢんまりとした家に住んでいたのですが、私自身が広い土地でのびのび育ったこともあって、もっと庭がほしいなと思うように。それで、9年前に理想的なこの土地に新築。近くに住む両親を呼んで、庭で花見やバーベキュー、ときにはランチをとることもあります。普段はボール遊びをしたり、自転車の練習をしたりと、子どもたちの遊び場に。リビングの窓が庭に面しているので、声も聞こえますし、遊ばせていても安心です」と妻の純子さん。
リビングと庭の間にあるウッドデッキは新築後、自作。「ホームセンターで売っている縁台をたくさん買ってきて、防腐塗料を塗って並べました。子どもたちが庭で水遊びをした後などは、ここで体を拭いたり、座ってスイカを食べたりできて、とっても便利です」(純子さん)
夫の孝平さんも「家族でリラックスできる場所。自然のなかに出かけなくても、ここでお弁当を食べるだけで気分がいいです」と、休日のひとときを満喫しているよう。
庭にはサクランボやビワ、イチジク、柿の木が。さらにウッドデッキのひさしの上ではキウイ、カーポートではブドウを育てていて、まさにフルーツざんまい。季節ごとにいろいろな果物を家族で収穫するのもイベントのひとつなのだとか。
「“もうすぐ食べられるね”なんていいながら子どもたちも楽しみにしているんですよ」(純子さん)
4歳、1歳の子どもと4人で暮らす塩見さん夫婦。5年前、結婚と同時に家を建てました。
一番のこだわりポイントはキッチン。ガスコンロ、調理台、シンクが一体になった横幅2.60メートルのキッチン台を、左右どちらからも入れるように、キッチンスペースの中心に。大人が無理なくすれ違うことができるよう余裕を持って設置しています。「四方向からキッチン台に立てるので、家族そろって食事の準備をしやすいんです」
2階へ続く階段は、玄関ではなくリビングに設置。「子どもが大きくなって個室を持っても、帰宅後は必ずリビングで顔を合わせて話をする時間が取れるように」との思いからだそう
取材の日は、夫・大助さんがコンロでシチューを煮ている間、4歳の煌大(こうた)くんはサラダに使うゆで卵を準備するお手伝い。殻をむいて、包丁で切って野菜の上に散らすという作業を、妻の直美さんが、1歳の大都(ひろと)くんを抱っこしながら見守っていました。
塩見さん夫婦の仕事は共に不規則のため、夫婦が顔を合わせられない日もありますが、2人がそろう日には一緒に食事の準備をすることもあるそう。すると、子どもたちも自然とそばに。気が付けば、家族みんながキッチンにいる、ということも多いのだとか。2人の子どもにとって、キッチンは家族の集合場所なのかもしれません。