2年前に購入した築37年の一戸建て。平尾さん夫婦は、この家を自分たちの手で少しずつ好みの空間に変身させています。去年の年末には、リビングにまきストーブを取り入れました。
「近所の喫茶店にあったまきストーブに憧れていて」と話すのは夫・恵郷(けいご)さん。それに対して妻・悠子さんは、「家が古いせいなのか、1年目の冬はとにかく寒くて。エアコン、ファンヒーター、石油ストーブをつけても部屋が暖まらず、子どもがいつも不機嫌でした」とかつての暮らしを振り返ります。
まきストーブを設置してから一番変わったことは?という質問に「テレビを見なくなった」と悠子さん。恵郷さんは「火って、いろんな燃え方をするんです。それを見ていると、しゃべることがなくても、ずっと家族一緒に時間が過ごせます。パチパチとまきが燃える音もなかなかいいもんです。火が見えるので、子どもも危険を感じ、必要以上に近づきません」。
節約と見た目にこだわり、土台のレンガ並べは恵郷さんが担当。より一層、愛着がわきそうです
また、まきストーブには調理ができるという楽しみも。平尾さん夫婦もおでんやシチュー、ピザ作りにチャレンジ。おいしそうなにおいが立ち込める暖かなリビングでは、子どもも機嫌よく遊んでくれるようになったそう。
まきストーブが活躍するのは、11月~3月くらい。この5カ月を快適に過ごすため、良質なまきを求めて、家族で出かける機会も増えたのだとか。
「ご飯は家族そろって畳の上で食べたい」。そんな願いをかなえるため、多田羅さん夫婦はキッチンから和室が近いという条件で家探しをしていたそう。ですが、理想の間取りになかなかめぐり合えず…。そこで考えたのが「リビングに畳で食事できる場所を、自分で作ろう」ということ。そのアイデアをカタチにしたのが“掘りごたつ風ダイニングテーブルスペース”です。
まずは畳店で、高さ30センチの細長い畳付き収納台を購入。それをロの字形に並べて、中央の穴の床部分に畳を敷き、サイズの合う長方形のローテーブルを置いて完成。夫の均さんが、飲食店の掘りごたつからヒントを得て作ったのだとか。
家族の会話が多い多田羅さん一家は、夕食の時間が長く、平均1時間はみんなで食卓を囲んでいるそう。高校生と大学生の子どもたちも、バイトや塾などの予定がない限り、夕食の時間になれば必ず帰宅します。
キッチンカウンターでの朝食は、準備だけではなく後片付けもスムーズ。「この距離なら、みんな面倒がらずに食器をシンクまで運んでくれます」(孝子さん)
均さんは、「掘りごたつ“風”がポイント。足を程よく伸ばせるから疲れない。一緒にテレビを見たり、長いときは3時間くらい、ここで過ごします」と家族の日常を語ってくれました。
一方、「時間が勝負の忙しい朝は、キッチンカウンターが活躍します」と妻の孝子さん。食事の支度ができた後は、お皿を持った手を少し伸ばせば、そこはもう朝食スペース。朝食と夕食で、集う場所を変えるという暮らしの工夫があるのですね。