京都市の1世帯当たりのギョーザ購入金額は、全国第3位(総務省「家計調査」、平成21~23年平均)!これは、ギョーザをご当地名物に掲げる宇都宮市、浜松市に次ぐ記録。この結果から、「京都人はギョーザ好き」と言えるかもしれませんね。今回は、京都とギョーザのなれそめをリビング流に解説。2面では、リビング読者のギョーザ事情なども紹介します。
もともとギョーザは中国発祥の食べ物ですが、今ではすっかり日本の食卓に定着していますね。ここでは、京都におけるギョーザの歴史をリビング独自の3つの視点で紹介しましょう。
京都のギョーザとして全国的に名をはせているお店が「餃子の王将」ですね。
昭和42年、ギョーザのみならず中華料理がまだ一般市民の食生活に浸透していない中で、同社は誕生しました。「当時、ギョーザを名物にした大阪生まれのお店がすでに京都に進出。そのギョーザよりおいしくて、安くてボリュームのあるものを提供したいと看板メニューのギョーザを作り出したんです」と同社の内田浩次さん。
創業当初は客足もまばら。「打開策として、駅前で無料券を配って宣伝しました。飲食店としては、まだ珍しいやり方だったんですよ」。高校の前でもギョーザ無料券を配布したところ、食べ盛りの高校生が無料につられて足を運ぶようになり、「ギョーザっておいしい」と評判が広がっていったのだとか。
ギョーザに関する読者アンケートを行ったところ、お店で食べるだけではなく、持ち帰りの利用も多いのが王将のギョーザ。持ち帰りには創業時から対応していて、ギョーザを注文する人の約6割が持ち帰り利用という店舗もあるそうですよ。
近ごろ、メニューをギョーザだけに絞った店がお目見えしています。しかも、ジャンルの異なる料理人が次々とギョーザ界に参戦!
「ぎょうざ処 高辻
亮昌(すけまさ)」では、料理人の佐久間厚さんをはじめ、和食やイタリアン出身の仲間が試行錯誤を重ね、和テイストのギョーザを作り上げました。京のもち豚、国産のキャベツ、九条ネギ、ショウガやニンニクのほか、京都市東山区にある山利商店のみそ、かつおだしも使用されています。「京都のギョーザとして誇れるものを出したい」という思いがあるのだそう。
一方、祇園の中心に位置する「ぎょうざ歩兵」のギョーザは、フレンチのシェフでもある同店の澤村裕二さんが開発しました。仲間と全国のギョーザを食べ歩き、「シンプルが一番」と思いいたった成果が込められています。「でも、フレンチの手法がなかったら、このギョーザは完成していませんでした」
ギョーザには、料理人の心を熱くする魅力があるようです!
昭和54年、祇園にある盛京亭の支店として左京区浄土寺にオープンした「北京料理 盛華亭」。後に独立を果たし、現在は、二代目・佐々木幸司さんが厨房(ちゅうぼう)を切り盛りしています。同店で、ほぼすべてのお客さんが注文するのがギョーザです。
「初代である父が修業した祇園の店は、花街や映画界のお客さんが多く、ニンニクなど臭いの強いものは敬遠されました。独立後も、そういった味に厳しいお客さんにひいきにしていただき、胃にもたれないとか、脂っこくないといった“注文”に応えてきたんです」
同店のギョーザはニンニクを使わないだけではなく、食べるときにはラー油もナシ。皮にはゴマを練り込むことで、香ばしさを出しています。
「こういう本流ではない味は、京都やから許されるんだと思います。京都は、伝統を重んじるけれど新しいことも受け入れる街。自分たちの好みもはっきりしていて、おいしかったら認めてくれます」。京都人あっての盛華亭のギョーザなんですね。