食べ物、こんなに捨てられるの!?

家庭生ゴミの2割以上が手つかず食品
食べ物、こんなに捨てられるの!?

食品をゴミにしたことは?

1ページ目で紹介した生ごみの現状に、リビング読者にも「食べ残し・手つかず食品の廃棄」についてアンケートを実施しました。その結果、「一度だけある」から「よくある」まで、ごみにした経験のある人は9割超! 「絶対捨てません」という人は、1割弱しかいませんでした。ごみに出してしまうのはどのような食品が多いかも聞いてみました(下表参照)。

野菜や肉の「使いかけ」「使いきれない」分がごみ箱へ

ダントツで多かったのが野菜です。使いかけのキャベツ、ネギ、ニンジン、ダイコンなどが冷蔵庫で保存しているうちにしなびてしまった、という声が一番多く寄せられました。また、レタスなどの葉物やキュウリ、モヤシなどは傷みが目立ち出すと処分する傾向に。ダイコンやキャベツなど丸ごとは使いきれないという声もありました。

次に多かったのが、料理の残りもの、いわゆる“食べ残し”です。家族があまり食べてくれなかったり、作りすぎて食べきれなかったり、買ってきたお総菜が残ったり。せっかく食事の用意をしたのに、これではちょっと残念ですよね。もちろん、「翌日のお弁当や朝・昼食などで食べきる努力をしている」という声もありました。

良く捨ててしまう7大食品

  • 野菜(手つかず、使いかけを含む)
  • 料理の残り
  • 魚・肉
  • 加工品(豆腐、納豆、ハム、ちくわ、こんにゃくなど)
  • つくだ煮、珍味など(いただきもの多し)
  • 果物

加工品の“期限”が気になって…

一方、消費期限・賞味期限切れを気にする声が多かったのが、豆腐や納豆、ハム、カニカマ、ちくわ、かまぼこなどの加工品です。そもそも、消費期限はお弁当など長く保存がきかない食品に、賞味期限はハムや缶詰など冷蔵・常温で保存がきく食品に表示されています。「特に賞味期限は、おいしく食べられる期限であって、期限をすぎたからといって必ずしも食べられなくなるわけではありませんよ」(京都市・三浦さん)

加工品は、生鮮食品のように傷み具合が目立たないものも多いですが、表示された期限を目安にしながら、食べ時を見極めたいですね。

なぜ、ごみになってしまうのでしょうか?

寄せられた声によると、「冷蔵庫に入れたまま忘れてしまった」「食べきれなかった」。食品をもったいないことにしないために、もっと工夫のしどころがあるのではないでしょうか?

食材を無駄にしない7つの智恵


エコクッキングを推奨・実践する力石さちさん

エコクッキング教室を主宰する力石さちさんは、毎日の食事から考える環境問題に取り組んで25年。食品を無駄にしない知恵を教えてもらいました。
  • 1.冷蔵庫にカレンダーを

    冷蔵庫内に保存している食材や料理を日付の下に書き出し、足りない食材を買い足すようにすること。献立を考える目安にもなります。
  • 2.家族で協力

    急な予定の変更は食べ残しにつながります。帰宅時間の変更など、なるべく早く家に連絡をいれる心配りを忘れないで。
  • 3.野菜スープで大量消費

    残り野菜のダイコン、キャベツ、ニンジン、トマトなどを、ざく切りにしてすこし炊き、ミキサーにかけて細かくしたスープ(味付けはコンソメ)は、そのまま食べてもカレーなどに転用してもOK。
  • 4.魚・肉は小分けしてから冷蔵庫へ

    魚はすぐに内臓を取り出しておきましょう。1回に食べきる分ずつ小分けしてから冷凍(もしくは冷蔵)を。
  • 5.アレンジを覚える

    いただきもののつくだ煮や珍味など、味の濃いものはほかの食材と混ぜ合わせてみて。ひじきの煮物は卵とじや餃子にするなど、わが家流のアレンジテクニックを作りましょう。インターネットやテレビ番組などで情報収集を。
  • 6.作りすぎない

    煮物などを一度に作る場合は、せめて3日分まで。
  • 7.お裾分け

    いただきものが重なったり、料理を作りすぎたときなどに隣近所や友人など、お裾分けできる関係をつくっておくと助かりますよ。

今は、モノのあふれた暮らし“もったいない”精神の継承を

まだ食べられそうな食品でも捨ててしまう消費者心理について、京都大学・環境科学センター助教の浅利美鈴さんに聞きました。


京都大学
環境科学センター
助教・浅利美鈴さん

「よく指摘されるのが期限表示との関係。実際にどうかはともかく、その期限が過ぎれば、捨てられるようになりました。見た目やニオイでの判断をしなくなったのはもちろんのこと、消費期限と賞味期限を区別している人は少ないのでは?

期限前でも、捨てられているものがあります。口にあわなかったもの、使いきれそうにないものなど…。お裾分けや工夫して料理する、そんな文化もなくなってきていると思います。

本当の意味での“もったいない”の精神や文化、食べ物を生み出す環境や人への“ありがとう”は、もう消えたと言ってよい状況です。3・11の経験で、生活や物との付き合い方を見直した方も少なくないと思いますが、今のモノのあふれた暮らしを変えるのは簡単ではありません。

ただ、今後、食糧確保が深刻になるかもしれない世界の状況(サバイバル時代)を考えると、将来に備える視点からも、“もったいない”文化や精神を引き継いでいくことが重要だと思います」

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