1ページ目に続いて、1人の人がほかの人のスペースを侵している「スペース違反」の場面を再現してみました。
傘の柄ではなく、真ん中を持って歩いている人。先端が後ろを歩いている人にぶつかりそうで危険です! 特に階段の場合、互いの位置によっては、下を歩いている人の目の前に先端がくることも…
左の女性のバッグに注目。電車が混んでいると、隣に立つ人や背中合わせに立っている人に当たります。右の女性のように体の前で持つか、あるいはスポーツバッグやリュックサックなら、網棚に置くほうがいいかも
大荷物のときに活躍するキャリーバッグですが、人通りの多いところで左の女性のように持つと、通行の妨げになることも。右の男性のように、脇に寄せて転がしたいですね
雨の日に狭い道ですれ違うとき、傘を持ち上げたりすぼめたりして相手のスペースをつくってあげる気遣いがほしいですね。右の女性のようにそのまま進むと、すれ違いざまに傘が相手に当たったり、水滴がかかる可能性が
リラックスした姿勢で映画を見たい…という気持ちは わかりますが、真ん中の男性が片側にもたれていることで、左の女性はきゅうくつそう。一方、自分のスペースが確保されている右の女性は、鑑賞を楽しんでいるようです
公共の場で快適なスペースを保とうとして、相手のじゃまになる―。今回紹介した写真は、どれもそんな場面です。
「こうしたことは、人の動きが比較的ゆっくりで、人口密度が中程度のところで起こりやすいんですよ」と、京都学園大学准教授の有馬淑子さん。集団心理の専門家です。
「たとえば大阪の地下街では、ものすごい数の人が、いろんな方向から足早に向かってきますが、ぶつかりませんよね。人間には、人口密度が高くて動きの速い場所では周囲に同調できる力が備わっているんです。このとき、人と人との距離はほぼ等間隔で『スペース違反』は生まれにくいんですよ」
有馬さんの話でもう一つ印象的だったのが「パーソナルスペースは卵型」というもの。「他人が入ってきたら不快に思う領域が『パーソナルスペース』ですが、これは自分の前方に長く、 後方に短いといわれています」。つまり、人は自分の背後には無頓着ということで、①や③の写真はその一例といえそう。後ろの人が迷惑顔なのは、自分の前方のスペースを侵害されたからかも!
誰かを不快にさせていないか、時には文字通り振り返ってみるといいかもしれませんね。