寝る前に夫婦でのんびり会話、女友達とガヤガヤおしゃべり。ママ友との立ち話。そんな、なんでもない話には実は大きなパワーがひそんでいるんです。無駄ではなかった無駄話、ちょっと見直してみませんか。
今回、リビング読者に「なんでもない話をすることでどんなプラス面がある?」「ちょっとしたおしゃべりをするときに気をつけていることは?」などのアンケートを実施。その結果とともに、京都文教大学臨床心理学部臨床心理学科専任助教の堀内詩子さんに聞いた、なんでもない話の効用を紹介します。
開口一番、「なんでもない話にはメリットがたくさんあると思いますよ」と堀内さん。「やはり、ストレス発散、しゃべってスッキリということが大きいのではないでしょうか」
確かにアンケートでも、「ママ友とは家事やドラマの話などの雑談で盛り上がれて、話をしているとストレスが発散できる」(kyoko616・38歳)という意見が目立ちました。
中には、仮にお互いの話をしっかり聞けていなくても、話をするだけでいいという声も複数ありましたが、「自分の話を聞いてもらったら、相手の話も聞くようにしている」(こまぐろ・39歳)、「相手の話はさえぎらない」(りのあやママ・51歳)という人も。
このように、話す際・聞く際に気をつけている点があるというコメントの中で、堀内さんが注目したのが、Krenさん(40歳)の次の意見。
「夫はつらいときほど元気に振る舞うので、そんなときは『何かあったの?』とストレートに聞かず、夫のペースに合わせてバカっぽい会話を続けながら、少しずつ悩みを聞きだすようにしています。ばかばかしい話をすることで、明るい気持ちになってくれるといいな」という内容です。
「なんでもない話とはいえ、その話をすることに目的があるなら相手に合わせた会話をするのは大切ですね。この場合、深刻ぶらない雰囲気の方が、相手もつらさを言いやすいかもしれませんね」
そして、“隠れた目的”ともいえそうなのが“所属感”です。
「日常のなんでもない話をすることで、結果として、人は“共有しあい、つながる喜び”を感じ、“相手や場に溶け込んでいく感覚”を覚えます。それは、何かの一員であること、社会に属していることを認識するといってもいいでしょう」
それが現れているのが、でぐじゅんさん(43歳)の「子どもの付き添いで公園に出かけているとき、近くにいるママと『会話がないのもなぁ』と思って話をするのが“なんでもない話”。これがきっかけで仲良くなったり、友達が増えるのが楽しい」というコメントです。
「会話のやりとりによってコミュニケーションをはかれて、一体感が増す、これも効用ですね。とはいえ、話をすれば一体感が増すということでもありません。いかに、自分が心地よい部分で相手と共感しあえるか、その話からどう盛り上がれて、楽しく過ごせるかは相手との相性次第。なんでもない話ができる人というのは、話のレベルが合って、感覚がフィットする人といえるかもしれませんね」
もちろん、「意味のない話を聞くのは苦痛」(ふっちりあ・45歳)と感じる人がいることも事実。自分と相手がともに“心地よい”と思えるのが理想ですね。