マニアックなイメージの強い骨董(こっとう)ですが、女性店主による親しみやすいお店も増えています。彼女たちに、古いものを現代生活に取り入れる方法を教わりました。
「アンティーク デイズ」岡田ゆう子さん
白い壁に、大きな窓からの光が満ちる店内。広々とした空間には植物や額のディスプレーが配され、西洋の古い静物画のような空気が流れています。そんな「アンティーク デイズ」に並ぶ商品は、ほぼすべて日本のものというからびっくり。
「もとはただの雑貨好きな主婦だった」と笑う岡田さん。珍しい雑貨を求めるうち、古いものの世界へ。「本当は西洋のものが好きだけど、主婦のお小遣いではなかなか手が出なかったから」
貫入が美しいクリーム色の皿、薄く色づいたグラス。大きなガラスの花瓶は「元はバッテリータンクか実験用具かな」と使いこなしアイデアも豊か。いずれも、岡田さんの一貫したセンスで選ばれているから、確かに「骨董」より「アンティーク」と呼びたい雰囲気をまとっています。
手仕事のカゴ
「なかなかキレイな状態のものは少ないけれど、手編みのカゴも、今新しいものを買うよりお手ごろに探せます」。手前の丸いものはおひつとして使われていたそう。用途を想像するのも楽しいですね
木の盆と白い器
「シンプルな木の盆は使いやすくおすすめ。丸盆なら数千円くらい。四角いものは手作りなので少し値は張りますが、今新品を買うよりは安いですよ」。上には白い無地の伊万里焼を。「絵柄のないお皿なら洋食にも合わせやすいでしょ」
家具を扱うことも考え、1年前に現在の広い場所に移転。静かで穏やかな空間です。「アンティーク デイズ」=長岡京市開田3-3-10 ロングヒル1階
「やっほ」吉村恵子さん
小さな裏庭へ爽やかな風が渡る「やっほ」には、味のある古い家具がいっぱい。時を経てきた木が醸し出す温かみに加え、どこか力の抜けた、素朴でかわいらしい雰囲気も漂うお店です。
「扱っているのは日本の古い家具が中心。でも『ギャッベ』というイランの遊牧民の織物や、新作の陶芸も置いています。古いものばかりで固めてしまうと、ちょっとしんどい。新しいものや外国のものもうまく合わせて、インテリアの要素として楽しむのがといいと思います」と吉村さん。
「古い家具は、仕入れてそのまま売れる状態のものはまずないんです。汚れをふいたり、紙やすりをかけたり、オイルを塗ったりして、初めてよみがえります。家にある古い家具も、少し手を入れれば見違えますよ」とも教えてくれました。
植物や布と合わせて
「古い木は持っている力が強いので、単体では重い雰囲気になってしまいます。植物や柔らかい布を使うと軽さが出ますよ」。手織りの布に、生花や、女性作家によるころんとしたポットを置いて。カラフルな洋書絵本を合わせたりも
布を張り替えた椅子
「これは昭和30年代の椅子に、ウィーンで買った布を張ってリメイクした商品です」。自宅の古い椅子にも応用できそう。「質感のある布が古い木と相性が良くおすすめです。自分で張り替えるのが無理なら、家具の修理店に頼んでみては」
お店は2月下旬にオープン。市バス「河原町今出川」停のまん前なので、通りすがりにのぞいていく人もちらほら。「やっほ」=上京区河原町通今出川下ル梶井町448-60
京都の修理ナビサイト
「もっぺん」
大切に使ってきた、愛着のある品。一部が壊れたからといって、捨てたくないですよね。でも、どこで直してもらえるのかな…。
京都市ごみ減量推進会議が運営する「もっぺん」は、そんなときに頼りになるサイト。古いものや壊れたものを修理してくれるお店が184軒も!
「平成20年の開設当時は54店でしたが、学生スタッフの地道な取材活動により、掲載店舗数が大きく増えました。ここ最近は、お店側から掲載依頼があった場合を中心に、直接お店にうかがい、店舗情報などを確認のうえ掲載。今後も増えていく予定です」(同会議事務局・野村直史さん)。
家具や洋・和服、時計、かばん、食器のほか、パソコンや家電まで。珍しいものでは造花の修理も。「人形や家具など、思い出の品を直してもらえた」「コタツのコードまで直し
てもらえた」などの感謝の声が寄せられているそうですよ。
問い合わせは同会議=TEL:075(647)3444
京都には、1面で紹介した東寺の「弘法市」のほかにも、定期開催されている骨董市がいろいろ。 あなたも宝物を探しに出かけてみませんか。
◆東寺弘法市
「弘法市」は毎月21日。毎月行われる空海の命日の供養に合わせて、江戸時代のころに始まった歴史ある市。◆東寺がらくた市
毎月第1日曜に、同じく東寺で開催。骨董品や手作り品が販売されます。◆北野天満宮骨董市(天神市)
菅原道真の誕生日と命日にちなみ、毎月25日に行われる市。約300店の骨董店のほか、食料品や植木、古着・衣料品などのお店も並びます。◆第53回京都大アンティークフェア
3・6・10月に開かれる、西日本最大クラスの古美術イベントの53回目。日本全国ばかりか、世界各国から約330もの古美術・アンティークディーラーが集合。