生命保険との付き合い方

読者の体験談から考えよう 生命保険との付き合い方

満期のタイミングで失敗!?

夫が職場でかけていた保険は、60歳満了の定期保険。掛け金を30年以上支払っていたが、60歳満期は早すぎた。それ以後の保障がなくなり、入院・死亡に対する不安が残った(伏見区・すみちゃん・65歳)


意外と手厚い社会保障

「ご主人が亡くなってしまった場合の金銭的な不安を具体的にイメージしてみましょう。例えば住宅ローンが残っていたとしても、団信(団体信用保険※1)でカバーされているケースがほとんどです。

それから公的年金から遺族年金を受け取ることができ、夫が会社員や厚生年金を受け取っていれば遺族厚生年金が該当します(※2)。貯蓄や遺族年金では不安が残るなら、60歳以上で入れる保険も選択肢の一つにはなりますが、公的な保障も結構手厚いですよ」

また病気になり多額の医療費がかかってしまった場合も、健康保険の「高額療養費制度」によって、自己負担は月9万円程度に。社会保障(公的保険)も頼りになるのです。

「一生涯保障がない分、定期保険は終身保険に比べて月々の掛け金は安いですよね。定期保険に加入している人は浮いた分を貯蓄にまわし、満期後はその貯蓄を万が一の備えにできるよう意識しましょう」


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※1 住宅ローンの契約時に加入する生命保険。ローンの返済中に契約者が死亡した場合に、遺族に借金が残らないようにするためのもの
※2 18歳未満の子どもがいる場合は子どもが18歳になるまで、定額の遺族基礎年金が該当します。遺族厚生年金の受け取り金額は、その人の勤めた期間や収入の大きさによって変わります。日本年金機構(旧社会保険庁)のウェブで計算式を確認し「ねんきん定期便」を見ながら概算できますが、計算方法が複雑なので日本年金機構の窓口・社会保険労務士・FPに相談してもいいでしょう

保険料、かけすぎた?

主人が結婚前に入っていた保険と、結婚後、別の保険会社に勧められて入った保険は、どちらも(定期付)終身保険。それぞれ30年以上払い続けてきて、あと2年くらいで死亡保障金額が一気に下がります。今まで病気やけがもなかったのはよかったけれど、かなりの出費で、「やはり無駄だったのでは?」と今頃になって後悔…(上京区・アップルパイ・63歳)


すでにかけた保険はムダじゃない

「お金を払ってきた保険に対して『無駄だった』と考えるのはやめておきたいところです。その間、保障を買っていたわけですから無駄ではありませんよ」と伊藤さん。

ただし「これから保険に入りたい」「今入っている保険、保障が重複していて、かけすぎかも」と思っている人は、なるべく早く見直したいところ。体験談2で紹介したとおり、1歳でも若いときに加入するほうが掛け金が安くなるからです。

「仮に月々1万円なら10年かけると120万円。かなり大きな買い物です。入るときには知識を持った人に相談してから決めてもらいたいです。面倒でもお勧めは2人以上から提案を受けること。そして保障内容と同じくらい担当者も重視して。メリットとデメリットをきちんと説明してくれる相手かどうかがポイントです。『この契約で、ほんとにいいの?』と不安を感じたときは別の相談窓口にも行くなど、セカンドオピニオンを取ると後悔も出てきにくいですよ」

「私の注目は『所得補償保険』。保険会社によっては『長期就業不能所得補償保険』『就業不能保険』といった呼ばれ方もされます。大きな病気やけがなどで長期にわたり働けなくなったとき、保険金の出てくる商品です」と伊藤さん。

例えば住宅ローンを抱えている世帯主が亡くなった場合、残りのローンが団信でカバーされるのは体験談3のとおり。一方、長期の病気やけがで収入がストップしたとしても、ローンは免除されません。

「世帯主が会社員である場合は有給休暇もありますし、健康保険には傷病手当金といって一定期間給料の何割かが受け取れる仕組みもあります。それでも死亡より大きな金銭的リスクといえます。また自営業の人には有給休暇や傷病手当金はありませんので、さらに重要な考え方です。あまり知られていないですが注目です」

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