青菜といえば、定番のおひたしやお鍋ばかり・・・という人も多いのでは? それぞれの特徴を生かしてできる、簡単なレシピを調理のコツとともにご紹介。
※各レシピは4〜5人分
そもそもなぜ、冬になると、青菜の甘味が増すのでしょうか? 京都府農業会議審議役の田中大三さんに聞いてみました。
「野菜は夏には糖分を消耗していますが、寒くなると糖分を蓄えて浸透圧を上げ、自分が凍らないようにしようとしているんです」。寒さから身を守ろうとする野菜の特徴が、おいしさを増す秘密というわけですね。
そんなこの時季の青菜。できるだけ栄養分を損なわずに、いただくには、京都府立大学大学院 生命環境科学研究科准教授の松井元子さんによると「青菜にはさまざまなビタミンが含まれています。なかでもビタミンAは油脂に溶ける脂溶性という性質があり、肉と一緒に油で炒め物にすると、より吸収しやすくなります」とのこと。
そのほか、ビタミンCも多く含まれていますが、こちらは熱に弱いため、ゆでるときには加熱時間を短くするのが大切なのだとか。
「たっぷりのお湯を沸騰させ、手早くゆでましょう。お湯が少ないと鍋のお湯の温度が下がってしまい、結果的に長時間ゆでることになります。また長時間の加熱は、変色の原因にも。ゆでたら、すぐに冷水にとって冷ますのが肝心。炒めるときも、あらかじめフライパンを熱しておいてから青菜を入れてください」(松井さん)
松井さんには、青菜を使った簡単レシピも教えてもらいました。
お話を聞いたのは
京都府農業会議審議役、田中大三さん。京都府野菜専門技術員、研究所野菜部長・副所長などを歴任。京野菜検定、京野菜マイスター、京都ブランド認証審査会などの委員を務めるかたわら、菜園教室や講演も。
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科准教授、松井元子さん。管理栄養士。京都府農林水産技術センターなどと連携して京都大納言小豆や新品種の白大豆などの研究に取り組んでいます。
ビタミンCと食物繊維がたっぷりの壬生菜。もともとは水菜から変種した京菜の一種です。「お漬物に使われることで知られていますね」ということで、松井さんはご飯との相性が良い壬生菜をゆでて、まぜ合わせた壬生菜ご飯に。「葉がやわらかいので、水菜同様にサラダとしても使えますよ」とも。また壬生菜といえば、カラシのような独特の辛味がするのも特徴。「ピリッとした風味がある野菜です。濃いコクが気になる場合は、さっとゆでてから料理に使ってください」(田中さん)
材料:ご飯(4杯分)、壬生菜(200g)、いりごま(大さじ2)、塩(小さじ1)
ホウレン草には、ビタミンA・C・K、葉酸などが含まれています。「冬は特に、糖分を蓄えて赤くなった根の部分に甘味がありますよ」と田中さん。おいしいホウレン草を見分けるには根を見るのがポイント。
「最近では、生のまま食べられるサラダホウレン草もありますが、それ以外は、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸が含まれていて、えぐみもあるので、ゆでてから料理に使いましょう」と松井さん。ゆでて食べる料理といえば、おひたしですが、もちろんゆですぎは禁物。箸で持ち上げて茎が少ししんなりしたら、お湯から出すタイミングです。
材料:ホウレン草(1袋)、白菜(大3枚)、ゴマ(大さじ4)、だし汁(大さじ1)、しょうゆ(大さじ3)、砂糖(大さじ2)、ユズ(適量)
セリにはビタミンAが多いほか、ビタミンC、鉄分、食物繊維なども。松井さんからは「さっとゆでて、あく抜きをしてから、ごまあえや、おひたし、みそ汁、天ぷらなど、いろいろ使えます」と。
そのほか「京都ではすき焼きに欠かせない具材」(田中さん)、「秋田ではきりたんぽ鍋にいれる」(松井さん)と、お肉とあわせた濃い味付けの鍋ものにも好まれています。左記では、ニンニクとベーコンと一緒に炒め物に。「炒めものなら脂溶性のビタミンAを多く吸収できるうえ、ニンニクとあわせることでセリの香りが引き立っておいしい」(松井さん)
材料:セリ(1袋)、ベーコン(40g)、ニンニク(2かけ)、オリーブオイル(適量)、タカノツメ(2本 お好みで)、塩・こしょう(適量)
菊菜は、ビタミンA・C・K、葉酸や、ホウレン草の2・5倍ものカルシウムを含みます。注意したいのは“変色”。「加熱のし過ぎや、酸性の調味料で黒くなってしまいます。酢などにつけるときは食べる直前に」(松井さん)。左記の「煮びたし」でも、短いゆで時間で取り出して冷水で冷まし、味を含ませるときは、冷ましただし汁に…とできるだけ加熱時間を短くしています。また菊菜には「茎が長くて葉に切れ込みのある“中葉”と、茎はあまり伸ばさず、葉が丸い“大葉”があるんですよ」(田中さん)
材料:菊菜(1袋)、カニのむき身(50g)、だし汁(100ml)、塩(少々)、砂糖(少々)、薄口しょうゆ(大さじ1/2)、ユズ(適量)
ビタミンC・E、そして食物繊維が豊富な水菜。「シャキシャキとした食感と、クセのないたんぱくな味が特徴です。生のままサラダで食べるのもおいしいですね」と、松井さん。「水菜のように、根元が込んでいる野菜を洗うときは、流水でゆするように洗うと、間に詰まった砂が取れやすいですよ」
また田中さんによると「水菜は冬に冷え込む京都盆地ならではの野菜。露地物の場合は、2月になると寒すぎて傷んでくるので、1月くらいまでが特にオススメ」。
材料:水菜(1束)、豆腐(1丁)、プチトマト(適量)、アーモンドスライス(適量)、マヨネーズ(大さじ3)、粒マスタード(大さじ1 お好みで)、牛乳(大さじ3)