心配は直下型の地震 もう一度、対策の確認を
「東日本大震災では津波が大きな被害をもたらしましたが、京都市周辺で心配されるのは活断層による直下型地震です。家の耐震、家具の固定といった、従来からいわれている対策をあらためて確認してください」と京都市市民防災センターのインストラクター・リーダーの清水亜希子さん。
震度7を経験できる同センターの地震体験室には、子どもたちも多く訪れます。「揺れに驚き、怖がるお子さんも。いざというとき落ち着いて行動できるよう、地震の揺れを体験しておくのも備えのひとつです」
「とにかく身の安全が第一。机の下など身を守る場所がないときや屋外では、かばんや本で頭を保護するように話しています」とも。
また、防災意識の高まりからか、4~7月の同センターへの来館者数は、昨年より約4200人増加。非常持ち出し袋を買い求める人が多かったのだとか。
「袋には一般的な非常持ち出し品のほか、家庭ごとに必要なものを入れてください(左記参照)。日頃飲んでいる薬があれば、薬とその名前を書いた紙を入れておくと安心です。ただし“詰め過ぎて重たい”“どこにあるか分からない”ということがないように、家族でよく話し合いましょう。
災害時には、携帯電話はつながりにくくなりますが、公衆電話は比較的つながりやすいので、10円玉を用意しておくのもおすすめです」(清水さん)
京都市市民防災センター(南区西九条菅田町7)=TEL:075(662)1849
読者のみなさんが不安に思っていることに、京都市消防局防災危機管理室・防災課長の白木貞二郎さん、京都市教育委員会総務課庶務の藤井翔太さんに答えてもらいました。
「家族がそれぞれの場所で被災したら、無事に集合できるか不安」
(南区・あおけん先生)
家族全員でどこに集まるか、避難所の場所を確認しておくことが基本です。家族が別々の場所で被災した場合も、各自今いる場所で身の安全を確保することが大切。仕事中であれば避難する場所が会社で決められている場合もあります。もし集合できず、連絡を取りたいときはNTTの171災害用伝言ダイヤルなどの利用を。(白木さん)
「築40年ほどのこの家が心配です。1階より2階のほうが安全?」
(下京区・こまぐろ)
昭和56年の新耐震基準以降の建物については、必要な耐震性能を満たしているといわれています。それ以前の建築の場合は確認を。「1階より2階が安全か」ということについては一概にはいえません。耐震性を有した建物に改修し、家具の固定をするなど、事前の対策が重要です。(白木さん)
「子どもが学校にいるときに地震にあったら?」
(中京区・Y)
京都市立の学校では災害が発生した場合、学校と保護者の間であらかじめ決めておいた方法(電話連絡など)で、児童生徒の保護者への連絡、引き渡しを行います。保護者と連絡が取れないなどの理由で、引き渡しができない場合は学校で保護することになっています。(藤井さん)
「私の学区には総合病院が2つ、個人病院は多数あります。治療などはどのような優先順位でしていただけるのでしょう?」
(西京区・マスクさん)
大けがの場合は近くの病院や救護所へ。病院も被災していることもありますし、どの病院かということは特に指定されていません。治療は命にかかわる大けがから優先されます。すり傷などのケガをしている人がいたら地域の皆さんでも応急手当をしてください。非常持ち出し袋には三角巾やガーゼ、包帯などを入れておきましょう。(白木さん)
市や府でも、新たな動き
京都市、京都府でも防災対策の見直しに着手しています。
「京都市では避難所など人に関する支援、情報伝達手段、都市基盤の3つの部会で防災対策の総点検を行い対応策の検討を行っています。原子力災害や被害想定についても専門委員会を設けて検討中で、これらは12月に最終報告がされる予定です」と京都市消防局の白木貞二郎さん。
また京都市内にいる市民や観光客の携帯電話に、避難勧告などの緊急情報をメールで知らせる「エリアメール」を8月10日からNTTドコモで開始(一部受信できない機種あり)。他社でも順次導入予定とか。さらに9月3日(土)に上京区の京都御苑や元春日小学校で行われる防災訓練では、新しく避難所の運営訓練なども行われます。
京都府では、京都府が原子力発電所に隣接することから「府民だより」7月号でも紹介されたように、「原子力発電所防災対策暫定計画」がすでに策定されました。さらに「京都府地域防災計画」を年度内をめどに改定中だそう。また9月4日(日)には地震、津波、原子力の複合災害を想定した防災訓練を舞鶴市で実施。「舞鶴での実施は1995年以来。高台への避難や海上漂流者の救出訓練のほか、船舶の接岸訓練なども行われます」(京都府府民生活部危機管理・防災課、参事の早川喜代司さん)
京都市消防局=TEL:075(231)5311(代)
京都府府民生活部危機管理・防災課=TEL:075(414)4473
仙台市の避難所は7月31日ですべて閉鎖されました。災害ボランティアセンターも8月10日をもって集約、ボランティアによる支援は、長期的な視野に立ったものへと移ってきています。この夏からは、人を街を元気にしたいと、祭なども積極的に開催されています。前に進むには心の元気が必要。そのこともいま、強く感じます。
震災以降、幾多の困難に立ち向かってきた福島県。徐々に避難所が閉鎖され復興の兆しを見せる一方、放射線との戦いは今もなお。ただ、福島県は全国第3位の広さ。地震や原発事故の影響を受けていない地域もたくさんあります。全国屈指の温泉や紅葉スポットなど観光資源も豊か。風評に惑わされず、福島の良さを見つけに足を運んでください。