ちゃんと知って、しっかり防ごう 解消!食中毒のギモン

思い込んでいませんか 予防に関する誤解

「食中毒予防に効果があるはず」と思ってやっていることってありますよね。その実際について聞きました。

生肉は新鮮なら大丈夫ですよね?
いいえ、新鮮すなわち安全ではありません。たとえば肉に多いカンピロバクターはもともと鶏などの動物の腸にいる菌。生の肉を食べるときは、それだけのリスクがあると認識を。特に乳幼児や高齢者、免疫力の低下している人は十分に加熱したものを食べるようにしましょう(保健環境研究所・浅井さん)。
梅雨時はお弁当に梅干しを入れています
最近多い、調味液漬けの梅干しでは殺菌効果は期待できません。昔ながらのクエン酸の多いものでも、食べておいしい程度の量では気休め程度でしかありません(京都女子大・桂さん)。
スポンジには洗剤を付けたまま
置いておきます
きれいに洗って絞ったスポンジに、除菌効果をうたった洗剤をたっぷり付けるのなら効果がみられる場合もあるかもしれませんが、食器を洗ったスポンジを使用後そのまま放置するのはよくありません。汚れが中に残っているし、洗剤も薄まっているからです(桂さん)。
まな板はこまめに日光消毒しています
日光(の紫外線)がよくあたる場所(室外)と季節でなければあまり効果は期待できません。よく日光があたる条件でも途中で裏返す必要があります。日光とともに風があたれば乾燥効果は期待できます(桂さん)。
まな板や包丁は使用後、熱湯消毒
しています
熱湯消毒による殺菌効果はあまりありません。すぐに温度が下がってしまうためです。残った脂汚れを除去する効果や乾燥を早める効果は期待できますね(桂さん)。

手洗いQ&A

食中毒予防に欠かせない“手洗い”。効果的な方法について、京都府保健環境研究所に教わりました。

ウエットティッシュや消毒ジェルだけでは
いけませんか
ウエットティッシュにはアルコールがしみこませてあったり、さまざまに除菌効果の工夫がされた商品があります。また、消毒ジェルは長時間殺菌剤が手にとどまり除菌効果を持たせるので、その意味で十分効果があります。ただ、汚れを落とした上で使わないとあまり意味がないので、原則はあくまで“手洗い+消毒”です。
水洗いではいけませんか
手の除菌は、菌を洗い落とすことが大切です。ですので汚れを落とすのと同じように考えると、石鹸を使ったほうがより良いですね。私たちのおすすめとしては、生の肉・魚をさわった後は、消毒剤で殺菌をすることです。
化粧石けんでもいいでしょうか
洗浄効果という点なら、通常の化粧石けんや液体石けんで十分です。薬用石けんには除菌効果がありますが、何か菌に触れた後や食中毒に気をつけるべき職業の人でない限り、通常の石けんでいいでしょう。固形と液体で洗浄力に差はありませんが、感染力の強いノロウイルスでは、固形石けんを介して感染した疑いのある事例もあります。
きれいに手を洗っても、
タオルから菌が付くことはありませんか
菌やウイルスがタオルから付くことはあります。だからタオルは清潔にしておくべき。感染者から移らないためにも、できれば個人個人でタオルは分けたほうがいいですね。ティッシュペーパーなど使い捨てできるものもおすすめです。
手洗いはどのくらいすればいいでしょうか
手洗いは手指、手のひら、手の甲、手首までの汚れを取り、きれいにすることが目的ですので、トータル2分以上洗いましょう。でも、なかなか実行しづらいですよね。
そこで小さなお子さんにおすすめなのが、3回洗いなどの複数回洗い。まずお子さんに、手指、手のひら、手の甲、手首の順に洗うよう教えてください。お母さんが見ていて、お子さんが忘れたか不十分な箇所を再度洗うようにしましょう。時間をかけても手洗いの手順、部位が不完全であれば意味がありません。

食中毒の病原体について

「現在、患者数でいうと、1位ノロウイルス、2位カンピロバクター、3位サルモネラ属菌です。病原性大腸菌ではO-157が最も多く、次いでO-26、第3位が最近大きな事件を引き起こしたO-111です」(保健環境研究所)

病原体 感染源 潜伏期間 特徴
腸管出血性大腸菌
O-157・O-111など
肉(特に牛肉) 3~8日 非常に強い毒素を持つ
熱に弱い
カンピロバクター 肉(特に鶏肉) 2~5日
平均2~3日
少量の菌で感染する
熱に弱い
サルモネラ属菌 鶏肉・卵 8~48時間
平均12時間
熱に弱い
腸炎ビブリオ 魚介類 12時間前後 海水温の上がる夏に増える
真水と熱に弱い
黄色ブドウ球菌 調理する人の
手指を介した食品
3時間以内 加熱処理では予防不可能
ノロウイルス 生ガキ
調理者の手
1~2日 熱に弱い
ウイルスに汚染された人の便や吐しゃ物を介して二次感染しやすい

「食中毒かな?」と思ったら必ず医療機関へ

こんな症状が出たら要注意
  • 吐き気や嘔吐(おうと)
  • 激しい腹痛
  • 下痢(便の中に血液や粘液、うみが混ざっている。腐ったようなにおい)

同じ食事をした人に同様の症状があればさらに
食中毒の可能性が高くなります

食中毒になったときは…
  • 水分を十分にとり、早めに受診を
  • 自己判断で下痢止めなどの市販薬を飲まない
  • 安静にする

「今までの経験から、これは普通の下痢ではないな、と自分で感じたり、家族から異常さを指摘されたりするはずです。また食中毒は、症状が出るまでにとった食事に原因があるので、思い当たるふしがあるはず。必ず内科、より専門的には消化器内科を受診してください。医師にきちんと伝えられるように、症状のメモを用意するのもおすすめです」(保健環境研究所・真田さん)

このページのトップへ