5・6年生対象に 小学校英語活動がスタート

小学校英語Q&A

始まったばかりの取り組みなだけに、分からないことも多い小学校英語。アンケートをとった読者からも、たくさんの疑問が寄せられました。それらの疑問に、京都市教育委員会・学校指導課の新田正さん、小司敦彦さんが回答してくれましたよ。

そもそも、なぜ英語が必修化されたの?(N・31歳)

A国際化、グローバル化といわれている時代にあって、外国語活動を教育としてもやっていかなければならないと考えられてきました。そこで、中学の授業の前倒しではなく、小学校でできることはやっていこうと、今年度から始まりました。
全国で統一して行うということも目的の一つです。これまで、まったく外国語活動をしていない小学校もあれば、『総合的な学習の時間』を利用して独自に行っている学校もありました。そのばらつきを解消するということです。
この活動を通して身につけてもらいたいのは、英語でコミュニケーションを図る素地を身につけるということ。『英語っておもしろい』と感じた子どもが、『中学校でも、もっとやってみたい!』という気持ちになれるようなカリキュラムのもと、指導を行っています」

どんなことをするのか気になります(yayuyo・40歳)

A「活動の主な目的は次の3つ。コミュニケーションへの関心・意欲・態度を高めること、外国語に慣れ・親しむこと、言語や文化に関する“気付き”を育むことです。
その目的を達成するために重要なのが“聞く”と“話す”力です。ゲームやクイズなどの遊びの要素も取り入れながら、指導が行われます。
ちなみに、この時間で文法を教えることはないんですよ」

小学5年生から始まるのは、なぜ?(M・39歳)

A「時間割の問題も大きいですね。新しい学習指導要領では、外国語活動は週に1時間で35コマと決められていますが、総合的な学習の時間がない1、2年生では、確保する時間がありません。その点、5、6年生は総授業時間が増えたことと、これまで110時間あった総合的な学習の時間が今年度から70時間になったことなどから35時間の余裕ができ、時間の確保がしやすくなったのです。
アンケートの中には、『もっと低学年から始めたほうが英語への抵抗がなくなる』『まず国語をしっかり、英語は中学からでも良い』などの意見もあったそうですね。実は、今回、5、6年生から始まると決められましたが、これは将来的には変わる可能性もあります。
現在、研究開発校として指定されている小学校では、1年生や3年生から外国語活動を始めているところもあります。また、“話す”だけではなく、“読む”を意識し、教科として行っている学校もあるんです。
これら研究校の今後の成果によっては、スタートする学年や時間なども見直されるかもしれません」

先生の指導力が気になるのですが(のん・35歳)

A「担任が英語の指導をすることに抵抗を感じる保護者もいらっしゃいますね。ただ、京都市では、『小学校英語活動研究会』を立ち上げ、以前から指導法などについて研修を数多く行ってきました。
担任による指導のメリットとしては、普段は関西弁を話している先生が英語を話すことで敷居が低く、子どもたちも英語に親しみやすいという点もあるように思います。英語に接することでの子どもたちの変化や成長なども、普段から接している担任だからこそ気付くことも多いと考えています。
もちろん“聞く”ことに重点を置いていますので、正しい発音に触れることも大切です。そのために、CDやDVDなどの視聴覚教材も有効に使っています。
また、“ALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー)”というネーティブの講師も参加。生の英語に触れる機会も設けています」

英語の時間を確保するために、何かの授業を削ったのでしょうか(SA・53歳)

A「外国語活動の時間確保には、総合的な学習の時間を利用しています。先ほどの回答でもご紹介したように、これまで110時間あった総合的な学習の時間の中から35時間を確保しているので、外国語活動のためにほかの教科を減らしていることはありません。
学習指導要領の改訂に伴い、国語、社会、算数、理科の時間は増えているんですよ」

各市町 独自の取り組みもあります!

平成11年から全市でスタート
【京都市】
平成6年、一部の小学校で英語活動がスタート。平成11年には、全市の小学校で取り組みが始まりました。全国に先がけ、平成20年からは5、6年生が年間で35時間の外国語活動を実施しています。
「小学校英語活動研究会」では、京都市オリジナルのテキスト「Hello,friends!」を作成し、英語ノートとともに外国語活動に活用しています。
平成22年度からは英語指導助手を増員
【城陽市】
平成20年度に「城陽市小学校外国語活動研究会」を発足し、指導計画の作成にあたりました。平成21年度には5、6年生ともに年間12時間、平成22年度には年間35時間の指導計画を組んで学習。指導方法については、平成20年度から全教員が研修を積み重ねてきました。
平成22年度第2学期からは、英語指導助手を3人から4人に増員。
平成5年から“ティーム・ティーチング”開始
【久御山町】
平成5年5月から5、6年生を対象に英語指導助手と学級担任の“ティーム・ティーチング”による学習形態を開始。以降、各小学校に1人ずつ英語指導助手を補助配置したり、全学年で年間25時間の英語活動の実施に取り組むなどしています。英語指導助手が中心となり、英語に親しむ活動を保育所、幼稚園でも行っています。中学校教員が小学校教員とともに英語活動を実施する取り組みもあり。
また、「外国語推進委員会」では、幼保小中の保育士・教員も参加してカリキュラム検討を行っています。
1~4年生も年間10時間程度活動
【長岡京市】
指導については、担任と外国語活動指導員(日本人講師)との“ティーム・ティーチング”を採用。研修は、過去には長岡京市独自で実施、現在は各校で行っています。
平成21年度からは、5、6年生は年間35時間の外国語活動の先行実施。1~4年生については、年間10時間程度を実施しています。
外国語指導助手の参加は年間28時間程度
【向日市】
外国語指導助手(ネーティブスピーカー)を平成16年度から採用。オールイングリッシュに近い授業を行ってきました。現在は、学級担任が授業を主導しながら外国語指導助手が年間28時間程度参加しているそう。また、平成21年度に全普通教室に大型デジタルテレビとパソコン、全校に1台ずつ電子黒板を配備。英語ノート電子版などを積極的に活用し、児童のコミュニケーション能力の向上を図っています。
1学期は“ALT”が中心に
【大山崎町】
1学期は、ALTが主となって指導をし、担任は補助をする役割に。授業に慣れてきた2学期以降は担任が主となって指導します。教師の研修方法は、ALTを講師として全教師が楽しい授業作りをするための研修会を実施しています。

わが家の5、6年生たちの英語体験

  • 何かを覚える勉強ではないので、楽しんでしています。先生が英語が得意ではないようで心配ですが(Y・41歳)
  • 楽しいようですが、塾に入っていないので少し不安そう(プーママ・36歳)
  • ゲームなどを取り入れて進められているらしく、とても楽しいそう。苦手になったり、拒否反応を起こさず、うまく英語に親しんでほしいと思っています(M・39歳)
  • 6年生の子は「分からなくなってきた」と言って、問題集でコツコツ頑張っています。外国人の先生に習いたいようです(チェリー・37歳)

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