日差しのまぶしい季節です。そのせいか、目がショボショボする…という人はいませんか? 目の疲れが出ているのかもしれませんね。そこで、今回は読者にアンケートを行い、多く寄せられた目の健康に関する悩みについて、専門家に話を聞きました。
アンケートの回答で特に目立ったのは、「最近小さな文字が見えにくいのですが、これって老眼の始まり?」(A・M、43歳)というもの。自分が老眼かどうか、チェックする方法はあるのでしょうか。
「本や雑誌などを目から30cmほど離して、読んでみてください(編集部注:近視の人は、眼鏡やコンタクトレンズを付けた状態で)。ぼやけて読みづらいという人は老眼が始まっています」(脇舛さん)
右の図に注目を。
「私たちの目は、よくカメラにたとえられます。レンズの役割を果たしているのが水晶体。ものを見るときは、ここが薄くなったり膨らんだりすることで焦点を合わせているんです。老眼は、加齢によってこの働き(調整力)が落ち、焦点が合いにくくなる状態です。老眼が始まる年齢は40~60歳と個人差がありますが、どんな人もなります」(脇舛さん)
「老眼だと気付いた場合、それ以上ひどくならないようにするには、眼鏡をかけたほうがいい? ぎりぎりまで我慢したほうがいい?」(マツイママ、48歳)など、「すぐに老眼鏡をかけてしまうと、老眼が進むのでは」と思っている人も多いようです。
「老眼鏡をかけたら、老眼が早く進むということはありません。むしろ、無理をして使わずにいると、目に負担がかかり、眼精疲労が増しますよ」(脇舛さん)
もう一つ多かったのがこの質問。でも、これは誤解なのだそうです。
「老眼で目の調節力が衰えると、手元にピントが合いにくくなります。これは、どの人にも当てはまること。しかし、近視の人は、もともと手元に焦点が合っているため、老眼による不自由さを感じにくい、というわけです」(脇舛さん)
ただし、すべての近視の人が老眼鏡なしではっきり見えるわけではありません。近視の程度にもよるそうです。
アンケート回答者の中で、毎日パソコンを使っている人は約45%、毎日携帯電話でインターネットやメールをするという人は約73%。その大半の人が、目の疲れを訴えていました。
「理由は大きく2つあります。1つ目は、近くのものを長時間見つめ続けるから。パソコンの作業中、モニターと目の距離は、約50cm。人間の目は、近くのものに焦点を合わせるとき、遠くに焦点を合わせるときよりも負荷がかかっているので疲れるんです。そして、2つ目の理由は、画面を見ていると、まばたきの回数が減り、目の表面の水分が蒸発します。その結果、目の表面に小さな傷がつきやすくなり、これが不快感につながっているんです」(脇舛さん)
このほか、モニターからの光による刺激も目の疲れの原因になるとか。
「携帯電話ですね。パソコンよりもさらに目に近い距離で使用しますし、画面のサイズも小さいので」(脇舛さん)
一つは、作業が長時間になるときの対策です。
「1時間に10分は目を休めてください。目を閉じたり、ボーッとして目の焦点を合わさないようにすると、目の緊張状態を緩められます」(脇舛さん)。ちなみに、パソコンや携帯の画面を見ていると、途中で目の焦点が合わなくなることがありますが、これは、目の緊張状態が続いたとき、目が休もうとしているサインなのだそう。
そして、目の乾燥対策も重要。パソコン画面が目線よりも下にくるようにし、エアコンの風が顔に直接当たらないようにするといいそうです。
「目は、下を見るときのほうが、上を見るときよりも目の表面積が減り、目の水分の蒸発量が少なくなるんです。エアコンの風はじかに当たると、目の乾燥の原因になります」(加藤さん)
アンケートでは「以前より、やたらと光がまぶしく感じる。…年のせい⁉」(萌・幹ハハ、39歳)、「蛍光灯の光やパソコンのモニターの光がまぶしい(夕方になると特に!)」(ろんりんまま、50歳)といった声も目立ちました。
「眼精疲労やドライアイなどが原因として考えられます。夕方、特にまぶしく感じるのは、昼間に目を酷使したことが原因となることも多いです」(加藤さん)
ちなみに、眼精疲労やドライアイは、長時間にわたるパソコン作業のほか、夜更かしによっても起こります。
「人間の生活リズムは本来昼型なので、夜型の生活をしていると目が疲れやすくなります。また、夜はもともと涙の分泌量が少なく、通常は眠っているはずの夜間にずっと起きていると、目が乾いた状態になり、ドライアイを加速させてしまうんですよ」
このほか、40~60代の人で光をまぶしく感じる人は、ぶどう膜炎や白内障といった目の病気が原因である危険性もあるとか。気になる人は、一度眼科に相談を。
日差しが強くなるこれからの季節。皮膚に日焼け止めを塗るのと同様、目の紫外線対策もしたほうがいいそうです。
「UVカットをしているサングラスや眼鏡などの利用がおすすめ。最近では、コンタクトレンズや白内障の手術に使うレンズにもUVカット加工がされています」(加藤さん)
紫外線は、白内障や雪目(大量の紫外線を目に受けたとき、目が赤くなり、強い痛みが生じる病気)、翼状片(よくじょうへん/白目の組織が異常に増殖し、黒目にかぶさってくる病気で、紫外線の多いところで発生する)といった病気の原因になることも。
「紫外線だけではなく、太陽光線に含まれる赤外線などは、網膜を傷めます。太陽をじかに見てはいけないといわれるのは、このためです」