甘さだけじゃない栄養素がいっぱい
とことん活躍!ハチミツパワー

美容や健康にもハチミツの力を取り入れて

用途別のハチミツがそろう点がユニークな、ラクエ四条烏丸地下1階の「蜂蜜家 京都かねいち」。中には「パック用」「洗顔用」なども!
「美容目的の商品もハチミツ100%なので、おいしく食べられますよ。ハチミツの種類による効果の違いはそれほどないので、家にあるもので大丈夫です」と店長の市川拓三郎さん。美容や健康面でのハチミツ活用法を教わりました。



6月、トチの蜜を求めて大忙しのミツバチたち。
「行きは元気良く飛び出すんですが、帰りは自分の
体重の半分ほども蜜を吸って、ヨタヨタ 帰巣してきます」

養蜂家に聞く、ハチミツが生まれるまで

ハチミツはどのようにして採れるのかを聞くために、伏見区「ヒグチ養蜂園」の樋口義明さんを訪ねました。

養蜂に携わって42年の樋口さんは、府下で唯一「移動養蜂」を行う養蜂家。移動養蜂とは、花の開花時期に合わせて国内各地を移動する方法です。「巣箱を現地に持って行ってミツバチを放すのです。ハチは帰巣本能があるので、蜜を採った後はちゃんと自分の巣箱に帰ってくるんですよ」

樋口さんは現在、京都と滋賀、長崎を移動して養蜂しています。「京都では4~6月が採蜜期。毎年5月は寝る間も惜しんで、あちこちを移動して採蜜作業に励みます」

取材時、「ヒグチ養蜂園」の棚は
空っぽ。 「去年はハチミツが
少なかったので、4月下旬まで
商品のハチミツがないんです」
と樋口さん

農業で大きな役割を果たすミツバチ
「人類は食料の3分の1を植物に依存し、ミツバチはその80%の受粉に関わっているという説もあります。それほどミツバチの役割は大きく、アメリカなど大規模農業を行う国では、養蜂家にとってハチミツはむしろ副産物。人の手で受粉させるよりも良い果実ができるので、日本でもイチゴなどのハウス栽培にミツバチは欠かせません」

近年、「蜂群崩壊症候群」という、ミツバチの原因不明の大量失踪(しっそう)がアメリカなどで話題になりました。「ミツバチの病気のまん延や農薬など、さまざまな原因が考えられます。農業に使うため長距離を移動させられたり、同じ植物ばかり与えられたりと不自然が強いられているため、体力が弱いハチが増えているのです」

樋口さんが採蜜する滋賀のレンゲ畑。広さは
30 haも!毎年1tほどのレンゲの種を農家の
方に無償配布して育ててもらっているそう

生涯で集めるハチミツはたったの6g
働きバチの寿命は羽化してから約40日。1匹が生涯に集める蜜はたったの6gだそう。

一方、女王バチは一群に1匹のみで、ひたすら産卵だけを行います。「女王バチも働きバチも最初は同じメスの卵。ローヤルゼリーという特別食で育てられたものが女王バチに成長します」

働きバチはオスだと思い込んでいた記者はびっくり。「オスは群の3%程度だけ。働きもせず寝て暮らし、メスに口移しでエサをもらって、夏の間は楽な生活を送ります。でもエサが少なくなる晩秋になると巣を追い出され、最後は飢え死にする者も」。何とも哀れなオスの末路…。

「十分に糖度が上がるとミツバチがハチミツに
フタをするので、それを包丁ではがします。
この後遠心分離器にかけ、採蜜します」

また、「花の蜜とハチミツは全く別物。糖濃度50%の薄いショ糖液である花の蜜を、ミツバチが巣の中で水分を蒸発させて80%にまで濃縮するのです」。ミツバチの消化酵素によって糖分がブドウ糖と果糖に分解され、花粉も混ざるためにアミノ酸やビタミンなどの栄養素が加わります。

「ミツバチと花の関係は、双方が得をするもの。花は花粉を媒介してもらえるし、ミツバチは食糧を得られる。ハチミツを人間がいただくとき初めて負が生じるわけですね。私たちが植物を守り育てることが、その負を返していく方法ではないでしょうか」


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