「お隣さんの夫婦げんかや騒音がうるさくて、ウツになりそう」
「路上駐車のため、わが家の車がガレージから出せずストレスに」
ご近所さんの迷惑行為でイライラが募っているという読者も多数。トラブルによるストレスは心身に影響を及ぼすこともあるので、気をつけたいことがあれば知っておきたいですね。佛教大学
臨床心理学研究センター所長の松瀬喜治さんに尋ねました。
松瀬さんによると、トラブルの対応には主に次の3つのタイプがあるのだとか。
例えば、騒音で困っている場合は、「『騒音が続いてつらいんです。少し音を抑えてください』と、“お願いする”姿勢で、困っていることを誠実に伝えます」。
相手の行動の意味やプロセスも考えましょう。
「ゴミ出しの時間を守ってもらえないなら、『ルールを知らないのだろうか? 慌てていたのだろうか?』など、相手の状況を考え、想像することで気持ちに余裕が出てきます。相手のこと、自分のこと、状況を同時に考えると対応しやすくなるんです」
それでも、うまく対処できないときは…。
「自分で何でもやろうとする必要はありません。自治会長さんや、頼れるご近所さん、管理人さんなど、うまく対応できる人にお願いすればいいんですよ。ストレスがたまってしんどくなったら、カウンセラーに話を聞いてもらうのも一つの方法。解決策を見つけるお手伝いができるかもしれません」
トラブル解決のためには、まず相手に困っていることを伝える必要があるものの…。今後のお付き合いを考えると「なんと言えばいいか分からない」「波風たたないように話すには?」など、言い出しにくいという人も多いのでは。
そこで、メンタルヘルス・コーチング「スリー・バイ・スリー」主宰の勝見九重(このみ)さんに“上手なノーの伝え方”を聞いてみました。
「自分も相手も得になるような話し方として、アサーティブという方法を紹介します(表参照)。これは“上手な自己主張”のテクニックです。服従的でも攻撃的でもなく、どちらにもメリットがある関係を目指しましょう。
ただ、普段あまり交流がない人から話しかけられると相手もびっくりするので(笑)、日ごろからご近所の方とコミュニケーションを取っておくことが大切ですね」
ご近所トラブルも、元をたどれば“人と人”。ご近所同士のつながりが深ければ、「どんな人か分からないから注意しづらい」「近くに相談できる人がいない」と悩むことも少なくなるかも!?
そこで、地域コミュニティーの活性化を目指し、検討委員会を組織することで具体策を探っている京都市文化市民局
市民生活部の矢部広就さんに「地域のつながりを深めるために積極的に取り組んでいる自治会を紹介してください」とリクエスト。こうして名前が挙がったのが、有隣自治連合会(下京区)です。同会会長の大田垣義夫さんに話を聞きました。
「まずは、町内会単位で人と人のつながりができるような“きっかけづくり”を行うことが大切。イベントや行事などの取り組みを通して、ご近所同士で親しさが生まれ、普段からコミュニケーションを取ることができるのではないでしょうか」
そうすれば、いざ困ったことが起きたときに自分の気持ちを伝えやすい、理解してもらいやすいのでは、と大田垣さん。
「昔は“向こう三軒両隣”なんていいましたが、今は意識的にしないとつながりは生まれません。
例えば、私の町内にあるマンションでは組分けをしていますが、あえて101号室・201号室…を1組、102号室・202号室…を2組にするなど、縦のラインで組分けする事で、フロアが違って普段、顔を合わせづらい人たちを同じグループにしているんですよ」
人と人のつながりを高めるのは、こんなちょっとした工夫かもしれませんね。