福井県の小浜市に生まれ育った出野るみ子さん(43歳)が、京都住まいを始めたのは25年前。「高校生のときに初めて訪れ、小浜とは違う都会的な空気に刺激を受けたんです。あこがれが膨らんで、卒業後の就職は『京都信用金庫』を選び、こちらにやって来ました」
それからの出野さんは、地元にはなかった百貨店や雑誌に載っているレストランに出かけたり、清水寺や金閣寺などを観光と、積極的に「京都」を満喫。山や川、田んぼの風景もあるところに安心感を覚えたと話します。繊細でおいしい和菓子が身近にあるのも、魅力の一つだったそう。
京都流の人付き合いは「せんさくしすぎない」
結婚・子育ても京都で。現在は専業主婦として洛西に根を下ろす出野さん。「行きたい場所は今も尽きません。有名人も足をのばすほど、見どころいっぱいの“世界の京都”ですから(笑)。これからはママ友といろいろ楽しみたい」とにっこり。
また、仕事や育児を通して感じたのは「京都の人間関係って密着感はあるけれど、お互い妙なせんさくはしない」。また、「京都の人はこう、と決めつけて接することはない」という出野さん。それが京都で楽しく暮らすヒントなのですね。
植物に囲まれたナチュラルな空間できびきびと働く、谷川泰行さん(35歳)と幸代さん(40歳)。13年前、大阪で働いていた二人がぶらっと遊びにきた京都で、「自分たちもこんな花屋さんをしたいと思う店に出合ったんです」と泰行さん。
そこで、思い切って京都に引っ越した二人。生花店に勤めたり、資金をためたりしながら開店の夢を温めてきました。結婚を経て7年目に「谷川花店」をオープン。
「それぞれの地元の香川や滋賀で店を…という案もありました。でも、店をするならある程度都会がいいし、京都で築いた人間関係も大きかった」(幸代さん)
ご近所には、気長になじんでいきたい
「『京都はヨソもんを受け付けてくれへんで』と、開店前に知人には言われました。でも、そんなことなかったですよ」と泰行さん。自分たちの店まで地域の人に足を運んでもらうのには時間がかかることもありましたが、月日がたつうちに打ち解けていったそう。幸代さんは「夕方になれば、お客さんからいただいたおすそわけでおかずがいっぱいになったこともあります」と。
今年2月には、北野天満宮のそばに店を移転。新しい場所で、自分たちも、店も、また少しずつ地域に浸透していけたらと思っているそう。
谷川花店(上京区今出川通七本松西入ル)TEL:075(464)5415