「京にそびゆる北京城の大塔」藤井斉成会有鄰館

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おきくプロフィール
2024年12月6日 

地下鉄「東山」駅から徒歩5分のところにある『公益財団法人 藤井斉成会 有鄰館』は、東山連峰を望み、静かに流れる疎水に面し大正15年(1926)10月 当時の新聞に「京にそびゆる北京城の大塔」との見出しで登場し、建築当時の姿そのままということでは、我が国最古の私立美術館だそうです。

アーチ窓や縦長窓、バルコニーも素敵!おしゃれなバルコニーから疎水を眺めてみたい!
凛々しい狛犬がいて、アーチ形の龍のレリーフや鉄格子が独特の雰囲気

第一館は東洋趣味を加味した地下共4階の鉄筋コンクリート造りで、屋上の屋根は乾陵2年製の黄釉龍文の瓦葺だそう。

40年ぶりに中に入り本物の宝物を間近で見学しました!

『斉成会 藤井有鄰館』の所蔵品は中国の殷(商)から清まで各時代の青銅器、仏像、書画、陶磁器等多彩。国宝1点、重要文化財9点を含む佛像や銅仏、絵画・書蹟・古印などがたくさん展示されています。高校時代世界史の先生に薦められて見学に行き、書道が好きだった私は貴重な書(最高のお手本)や書道の道具(亀等の飾りがついた硯、全紙や掛軸を書くような立派な筆など!)や素晴らしい美術品にすっかり魅せられ、学生の頃は毎週のように見に行ってました。

社会人になってからは岡崎に行く機会も減った上に、開館日に行けなかったりで実に40年ぶりの見学でした。

入り口は こちらではなく建物西側の財団法人所有の私道から入ります
『有鄰館 出入口・西門・第2ホール』の看板下の私道から入ります
『有鄰館入り口 西門』 門をくぐって左側に 『第一館』があります。一般・大学生1300円 右側の 『第二館』が600円
中国古材の朱塗りの八角堂を載せ、黄釉瓦3万6千枚で葺く中国風の建物『有鄰館第一館』

久しぶりに中に入ってみると展示室内部も昭和初期の雰囲気のままだそうで、私には懐かしいだけでなく、やすらぎを感じます。

『有鄰館』は「徳は孤ならず、必ず隣なり」の論語より名付けられたそうで、各時代の皇帝から庶民のものまで網羅して「居ながらにして、中国を肌で感ぜられる美術館」と言われるのも腑に落ちます。

皇帝が使われたという螺鈿で飾られた豪華な天蓋付き寝台も驚いたのですが、皇帝の衣装『清 乾隆帝龍袍』は織物とは思えない細かい綴れ織りで驚きました。ビーズより小さい淡水パールや海の宝物である珊瑚を使って施された、皇帝専用の文様「五爪二角の龍文」や様々な吉祥文様が豪華で美しく、どうやって作られたのかは今も解明されていないんだそう!現代の技術でも再現出来ないんだろうなあ。

ボランティアガイドの方に教えて頂いて改めて見に行ったのが『カンニング用の襦袢』。

お経が書いてある魔除けの衣だと思っていたのですが、昔、中国で行われていた官吏登用試験「科挙」の時に使われたというカンニング用の襦袢だったのでした。丈134㎝の襦袢に「四書五経」とその注釈およそ70万字を細かい楷書で表裏全面に書いてあるそう。設置された拡大鏡なしでは見えないほど小さい字で、どうやって書いたのか不思議でした。

第二館も宝の山で二度ビックリ!

『第二館』は国登録有形文化財の造建築で、随所にアール・ヌーボやアールデコ様式がみられます。昭和の御大典に際し大蔵大臣用の宿泊所として、金沢市横山町の旧横山男爵邸の一部を昭和3年(1928)に当地に移築、犬飼毅元首相をはじめ、当時の政財界の往来のあった歴史的意義のある建物だそう。藤原時代の木造仏安置の仏殿、西太后の書が飾られたホール、小展示室、トンボの間、蝶々の間等があり、展示品も明治天皇が座られたという椅子のみならず、ガレのランプや兜、楽器(各種琵琶や琴等)から懐かしい市松人形迄あって様々。

鑑賞する人が何らかのヒントを見出だして、心のクリーニングとやすらぎのひと時を与えられる美術館でありたいと思っていらっしゃるそうなので、目と心の保養にまた行きたいなです。

藤井斉成会有鄰館

京都市左京区岡崎円勝寺町44
TEL:075-761-0638
11:00~15:00(入館は14:30まで)
一般公開は2~7月、9~11月の第1・3日曜日

プロフィール

おきく

在住エリア:京都市上京区
メインテーマ:スポーツ・レジャー施設
ワクワクする生活を送れるよう、大人のちょっときになる情報を、見て聞いて体験して、お伝えしたいです。
好きなことは、ダンス、水泳、トランポリン等。そして、食べることです。
一緒に、面白いことを探していきましょう。