上京区にある、コミュニティーカフェ「はうす結(ゆい)」。多様性を認め合える社会を目指し、この場を立ち上げた二人のお母さんに話を聞きました。
撮影/児嶋肇
細い路地の奥に立つ民家の玄関を開けると、天井の高い土間が広がります。どこか懐かしい、ぬくもりある雰囲気のこちらが、コミュニティーカフェ「はうす結」。毎週月・水曜日と毎月25日、そのほかイベントの開催日にオープンしています。注文しないでおしゃべりするためだけに来てもOKと、さまざまな人の居場所を目指しているとか。
取材に訪れた日は、多くの人が集まっていました。「月に1度開催している〝ごちゃまぜイベント〟の日なんですよ」。そう言って迎えてくれたのは、同カフェを運営する上西幹子さんと宮本真弓さん。二人とも障がいのある子どもを育てるお母さんです。
〝ごちゃまぜイベント〟は、誰でも気軽に訪れられ、つながり合うことを目的としているそう。今回はアロマスプレー作りやお菓子作り、子ども向けハンドメイド体験などのワークショップが各部屋で行われていました。土間の壁にはたくさんの絵が展示されていて、中には障がいを持つアーティストの作品も。入場は無料、各ワークショップは有料です。
参加者は近隣の親子連れが多く、体験を楽しんだり、座って絵を眺めたり。販売されている軽食やドリンクを楽しむ人の姿も。思い思いに過ごす中で、障がいの有無に関係なく自然と交流が生まれていました。肢体不自由な子を育てているという母親は、「コロナ禍で出かけづらいときにも、子どもを連れて気軽に遊びに来られて助かりました」と話していました。
多様な人が交流することで得られるもの
2021年から「はうす結」の運営をスタートした上西さんと宮本さん。当初は、自分たちの経験から「障がいのある子を育てる母親のために気兼ねなく集える場所をつくりたい」という思いを抱いていたそう。
「でも、多くの出会いがある中で、健常児の親でも同じように悩んでいる人もいる、と気づきました。子育て以外にも親の介護など人によって悩みはさまざま。そういった人たちが〝ごちゃまぜ〟になり話すことで、異なる視点で悩みを考えることができ、すっきりした顔で帰っていかれるんです」と話す二人。
そして現在は、「みんな違ってみんないい」をコンセプトに「性別や国籍を問わず、子どもがいる人もいない人も、ひとり親も、不登校の子も、健康な人も病気や障がいのある人も、誰もが気軽に訪れられる居場所」を目指して活動しています。
〝ごちゃまぜイベント〟以外に、趣旨に賛同する人たちと一緒に編み物レッスンやみそづくり、薬膳茶の体験会といったワークショップを開催することも。
「イベントの合間の雑談だからこそ、ぽろっと悩みをこぼす人も。話して、楽しんで、笑顔になって帰る参加者を見ると、やってよかったと思います」と上西さん。
「将来的には、毎日開放したいですね。また、健常者と障がい者が平等に働ける場としても機能するようになればと考えています」
問い合わせはメールで。houseyui.202102@gmail.com
「はうす結」
〈オープン日時〉
毎週月・水曜日、毎月25日 各午前10時30分〜午後2時30分
〈場所〉
京都市上京区大宮通鞍馬口上ル若宮竪町97−11
入場無料・予約不要
イベント開催時は予約や別途料金が必要な場合もあり
詳細および今後の活動予定は「Instagram(インスタグラム)」から。
〈Instagram〉
https://www.instagram.com/house_yui/
(2023年8月26日号より)
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