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がん治療で注目される「陽子線治療」〈京都府医学振興会〉

2022年11月23日 

リビング編集部

4月に公的医療保険の対象疾患が拡充されました

京都府の医療水準の向上や地域社会の福祉に貢献する公益財団法人「京都府医学振興会」。同会が、がん治療の新たな選択肢として注目しているのが「陽子線治療」です。

2022年4月、公的医療保険の対象疾患が拡充。府内では唯一、京都府立医科大学附属病院=上京区梶井町465、TEL:075(251)5061=で治療が行われています。

陽子線治療を行う京都府立医科大学附属病院の施設

同病院の木元拓也先生によると、「科学的な根拠に基づいたがんの標準治療には、手術をはじめとした外科治療、放射線治療、抗がん剤などの化学療法という三つの柱があります」とのこと。

「放射線をがんの病巣を目掛けて照射し、がん細胞内のDNAを損傷させ、細胞を死滅させようというのが放射線治療。代表的な放射線であるX線は、体を透過する性質があるのに対して、同じく放射線の一種である陽子線には〝止まる〟性質があり、体内の一定の深さで止めることができるのが特徴です。

この性質により、がん病巣の周囲に限局的に照射可能となり、正常組織に対する放射線の影響を低減することが期待できます。病態や合併症などで外科的な治療が困難な方にもアプローチできます。疾患によって期間や回数が決まっています。入院は必要なく、通院で治療します」

木元拓也先生
京都府立医科大学放射線診断治療学講座・助教。日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会認定の放射線治療専門医

消化器がんなどが追加適応疾患は七つに

2001年、高度先進医療として陽子線治療が開始され、2016年、小児がんへの適応が保険対象に。今回の対象拡充で消化器がんなども加わり、適応疾患は七つになりました。保険対象なので、医療費は1~3割の自己負担で高額療養費制度を利用することができます。

「2019年3月から2022年10月の間に、850名が治療を受けています。そのうち7割が前立腺がんの患者さんでした。陽子線治療を受けるには、病態などの条件があります。患者さんのかかりつけ医と連携し、病態の状況などをよく検討し、治療を進めることが大切です」

同会では「がんと陽子線治療」「陽子線治療の流れ」の2種類の動画を制作。京都府立医科大学附属病院のホームページで公開されています。下記ボタンから閲覧可。

京都府医学振興会

京都市上京区梶井町465

(2022年11月19日号より)