自由に楽器で遊べる〝おんがく実験室〟

2022年9月16日 

リビング編集部

子どもたちとプロのセッションも 自由に楽器で遊べる〝おんがく実験室〟

気ままに楽器に触れられる、子どものためのイベント「移動おんがく実験室スタジオ☆ムジカ!」が京都各地で開催されています。手掛けるのは「コジカレーベル」。メンバーにはプロの音楽家たちも。レッスンでもコンサートでもない〝おんがく実験室〟の催しとは。

撮影/山﨑晃治


夏休みも終わるころ、京都市北文化会館の会場からにぎやかな音が—。

この日、「コジカレーベル」がイベントを開催。同団体は、さまざまな楽器や日用品を使って、子どもたちが好きに音楽を奏でられる企画「移動おんがく実験室スタジオ☆ムジカ!」を京都各地で行っています。

取材に訪れたときは、全員で合奏中。今回が初参加の家族や、兄弟そろってリピーターという親子もいました。メンバーの歌や演奏に合わせて跳んだりはねたり、子どもたちは思い思いに好きな楽器を打ち鳴らします。楽譜もなく音楽を自由に感じ、表現する空間が広がっていました。

1歳半~小学生までの十数人の子どもたちが合奏に夢中に

合奏の時間以外も、子どもたちは楽器に触れたり、空容器でオリジナル楽器を作ったり、気が向くままに遊びます。楽しげに音を出す子に寄り添って、メンバーが楽器を鳴らしたり、あるいは子ども同士でも、いたるところで自然とセッションが始まっていました。

音楽家でもあるメンバーのミニコンサートも実施。三味線奏者の三宅良さんの演奏や、パーカッショニストの渡辺亮さんによる、ブラジルの民族楽器・ビリンバウの音色などに聴き入る子どもたち。なかには触発されて、マラカスを振ったり太鼓をたたく子も。プロの演奏中であっても、自由に音楽を楽しめるのが同団体の〝実験室〟です。

(下段左から時計回りに)メンバーの小島さん、永田さん、渡辺さん、黒坂さん、三宅さん、姉川さん(撮影時のみマスクを外しています)
特別感が出る自作の楽器

教えるのではなく 遊びをリードする感覚で

「思うまま楽器に触れることで、子どもたちは音を出すことに熱中します」と話す同団体代表の小島寛大さんは、アートマネジャー。アーティストと社会の間に立ち、マネジメントする役割を担います。子どもたちが自由に楽器で遊べる場所を、町の中につくりたいという思いで昨年から活動を始めました。渡辺さんや、和太鼓サークルを立ち上げている黒坂周吾さんなど、子ども向けワークショップの経験があるメンバーも。

木琴をたたく子の隣で黒坂さんがギターを弾くなど、楽器の組み合わせもさまざま
永田充さんが演奏する中東の太鼓・ダラブッカ。子どもたちにも人気です

「イベントでは、自然と合奏が始まる雰囲気づくりを心掛けています。弾き方も聞かれれば教えますが、子どもたちを主役に、僕たちが仲間としてセッションすることで遊びが膨らめばと」

子どもが何を体験できるか周りの環境で大きく変わることを自身の子育てで実感した小島さん。活動中も、子どもたちの反応から感じることがあるとか。それは、「今まで楽器に触れていないために知らなかった、音楽が好きという気持ちや素質が、まるで『地面の中の種が芽として出る』ような感覚」と話します。

身近なキッチン雑貨も楽器に。「マナー的にはだめですが、ここでならOK。実際、身の回りの物が楽器になった例も多いんですよ」と小島さん

「楽器の用意やレッスンにはお金がかかりますが、音楽を限られた人のものにしたくないんです。経済的事情がある子も、障がいがある子も、誰でも来られる場所にしたいと思っています。

ただ、答えがあるわけではなくイベントは常に手探り。そういう意味でも〝実験室〟を名乗っています。今もチャレンジしている途中です」

次回は9月30日(金)に開催予定。問い合わせは同団体=kozicalabel@gmail.com=へ。

「移動おんがく実験室 スタジオ☆ムジカin 堀川まつり」

〈日時〉2022年9月30日(金)午後4時〜9時ごろ

〈会場〉堀川新文化ビルヂング ギャラリー&イベントスペース「NEUTRAL」

※費用や申し込み方法など詳細はホームページ=https://www.kozica-label.net/=を確認

(2022年9月17日号より)